公務員試験 H28年 法務省専門職員 No.32解説

 問 題     

我が国の教育に関する人物についての記述として最も妥当なのはどれか。

1.空海は, 9 世紀に唐へ渡って天台教学を学び,帰国後,日本における天台宗を創始した。また,優秀な弟子を育てるために,比叡山にうん邸を築き,修行僧が遵守すべき事項を定めて,厳格な僧侶教育を行った。

2.上杉憲実は,13 世紀に金沢文庫を開設した。彼は,仏教学や朱子学などの様々な種類の図書を金沢文庫に集め,僧侶や武士だけではなく,農民に対しても教育を行った。さらに,彼は勤労や倹約を中心とする報徳仕法を唱えた。

3.中江藤樹は,17 世紀に私塾の藤樹書院を開設し,門弟などの指導と著述に専念した。その頃から陽明学に転じ,後世において,日本における陽明学の開祖と称されることになった。彼は,地域の農民にも教育を行い,近江聖人と呼ばれた。

4.伊藤仁斎は,18 世紀に我が国の固有の精神や文化の解明を目指す国学を大成させた。また,国学を普及させるために,私塾の蘐けん円塾を開き,門弟の教育を行った。主著は『風姿花伝』であり,国学を学ぶ重要性を論じた。

5.緒方洪庵は,19 世紀に私塾の足利学校を開いた。そこでは,医学や博物学の講義が行われ,実力本位の競争によって進級を決める方法が採用された。著書『解体新書』は,彼の教育思想や医学の知見をまとめたものである。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
空海真言宗の開祖です。天台宗は最澄により開かれました。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
上杉憲実足利学校再興です。金沢文庫開設は金沢実時です。足利学校 及び 金沢文庫は、中世教育史での重要な存在です。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
日本陽明学の祖 中江藤樹です。近江小川村に藤樹書院を開設し、近江聖人と呼ばれます。

選択肢 4 ですが
伊藤仁斎古義学を創始した儒学者です。儒学の原典研究を説きました。開いた私塾は古義堂です。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
緒方洪庵は蘭学者、医者です。大阪に適塾を開設し、西洋文化吸収の土台をつくりました。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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