公務員試験 H28年 法務省専門職員 No.31解説

 問 題     

古代ギリシャの哲学者であるアリストテレスに関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.教育の最高の目的は,道徳的に善き人であり,博学かつ雄弁である完全な弁論家を育てることであると考え,幼児期から生涯にわたる体系的な弁論家教育を構想した。彼の思想や著書『隠者の夕暮れ』は,後のルネサンス期の人文主義者たちに大きな影響を与えた。

2.哲学と弁論術の結合から,真の教養が生まれると考え,弁論家の教育に力を注いだ。『国家論』,『法の精神』などの著書の中で,政治,法,道徳などの実践的な諸課題に関する哲学的な考察を行った。

3.ソクラテスの弟子として,ヨーロッパ哲学の基本的な枠組みを提起したとされている。彼は,個人の正しい生き方と正しい国家の在り方を一体にして論じ,イデアこそが真の実在であると考え,それを捉える哲学的な営みを重要とした。

4.アカデメイアで学び,後に学園リュケイオンを創設した。彼は,経験的な実証分析の方法を重視して,広く集積した知識の体系化と学問の分析に努め,余暇を活用して教養を高める教育を強調した。

5.善とそれに結び付く知識の在り方を問題とすることにより,今日につながる哲学の伝統をつく
り出した。彼は,対話により「よく生きる」ことを知り,その善と不可分の知識を若者に伝えよう
とした。その方法は産婆術といわれた。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

アリストテレスはプラトンの弟子です。また、アレクサンドロス大王の師です。学園リュケイオンを設立しました。古代哲学を総合し、分析的手法で学問体系をつくりあげ「万学の祖」と呼ばれます。

選択肢 1 ですが
「隠者の夕暮れ」を書いたのはペスタロッチです。アリストテレスの代表的著作は「政治学」です。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
アリストテレスは「弁論術」の著者です。また、「法の精神」の著者はモンテスキューです。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
ソクラテスの弟子、イデア論とくれば「プラトン」です。アリストテレスではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。

選択肢 5 ですが
「対話」、「よく生きる」、「産婆法」とあり、ソクラテスについての記述と考えられます。アリストテレスではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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