公務員試験 H28年 法務省専門職員 No.27解説

 問 題     

社会的認知に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.ピグマリオン効果とは,教師が児童・生徒の学業成績の達成についてある期待を抱き,その期待が実現するように行動することによって,実際に児童・生徒の学業成績に向上がみられる現象をいい,ローゼンソール(Rosenthal, R.)らの学校での実験研究を基に提唱された。

2.ゴーレム効果とは,他者の望ましくない側面がより強調され,望ましい側面は控えめに,過小評価されやすくなる認知のゆがみのことである。これにより,他者に対する評価は総じて実際よりも否定的なものになるとされている。

3.ハロー効果とは,ある人物に対する周囲の評価が高い場合に,その人物がある側面で望ましくない特徴をもっていても,それ以外の特徴については過大な評価をして,全体的に望ましい評価をすることをいい,フェスティンガー(Festinger, L.)によって提唱された。

4.バーナム効果とは,個人の行動が,集団の一員として認められたい,仲間とうまくやっていきたいなどといった社会的欲求に規定されたり,公式集団よりも自身によって作られた非公式集団の規範に強く影響されたりすることをいう。

5.ゲインロス効果とは,他者と相互作用を伴わない単なる接触を繰り返すことにより,否定的な評価から肯定的な評価に変化して魅力を感じる反面,接触が減少すると,肯定的な評価から否定的な評価に変化して魅力を感じなくなりやすい現象をいう。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
ピグマリオン効果は、教師の期待により、学習者の成績が向上する効果のことです。

選択肢 2 ですが
ゴーレム効果とは、周囲の低い期待により、学習者の成績が低下する効果のことです。ピグマリオン効果の逆です。「望ましくない側面がより強調され、、、認知のゆがみ」という効果ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
ハロー効果とは、光背効果、後光効果とも呼ばれる、認知的ゆがみの一つです。顕著な特徴に引っ張られて、他の特徴についての評価が歪められることです。ちなみにフェスティンガーは「認知的不協和」を提唱した人です。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
バーナム効果とは「あなたは好かれたいと思っているが、自己を批判する傾向がある」といった、一般的で広く当てはまる内容を、あたかも自分だけに当てはまると感じる傾向のことです。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
ゲインロス効果とは、好印象もしくは悪印象の一方からもう一方に変わった際により大きな影響を与えることができる効果です。記述はザイアンスの単純接触効果です。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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