公務員試験 H28年 法務省専門職員 No.15解説

 問 題     

家族を,各部分の特性の総和以上の特性をもつ一つのシステムとして捉え,家族の構成員の問題について家族との関係性で理解しようとする考え方の総称を家族システム理論という。家族の様々な連合のパターンを示した模式図について,家族システム理論の立場から正しく説明しているものとして最も妥当なのは次のうちどれか。

なお,模式図において,○ は女性,□ は男性,大きい ○・□ は親,小さい ○・□ は子どもを示している。実線は,各メンバー間のコミュニケーション,情緒,活動の肯定的な面を示し,線の数は人間関係の量的なものを表している。点線は相互作用が欠如しているか,否定的なものを示している。

夫婦又は同胞といった同世代内の関係は親密であるが,子どもの負の情動反応に親も巻き込まれやすく,自他の適切な分化がなされないままで事態に対処してしまう危険性を有している。

問題行動を示す子どもがいる家族で典型的にみられ,夫婦がお互いに抱いている不満が,問題行動を起こした息子を共に攻撃し,責めることで解消され,夫婦は親としての連帯感を一時的に取り戻すことができる。

家族システム理論における機能的な家族である。家族間の関係は,いずれもほぼ同じ重要性をもっている。家庭の支出といった家族の問題に関しても,親と子どもの意見が同等に重視されるなど,民主的である。

まとまりを形成している他の三人から父親が孤立し,かつ,母親−息子の連合が形成されている。この場合,息子が父親の役割を代行していることがある。

家族システムが二分された状態に陥っており,各構成員は家族への帰属感を全くもたない。行動面の特徴としては,各人の生活リズムが一致せず,すれ違いが多い。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
模式図を見ると、両親同士、子供同士が親密で、両親と子供の間の相互作用が欠如、否定的と読み取れます。それぞれ仲いい人がいて、そこで勝手に過ごしているイメージです。そうであれば、子どもの負の情動反応について、両親への影響はあまり見られないと考えられます。「子どもの負の情動反応に親も巻き込まれやすい」という記述と矛盾します。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
両親共に息子とは親密な模式図です。「問題行動を起こした息子を共に攻撃し・・・」という記述と矛盾します。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
模式図を見ると、どの相互関係も肯定的で、量的にも同等とわかります。このような関係における家族の支出のような家族の問題に関しては、意見が相互に交換され、それぞれの立場に基づいて重視されると考えられます。「民主的、つまり、一人一票あって同等」という意見の重視のされ方ではないと考えられます。選択肢 3 は誤りと考えられます。

選択肢 4 は妥当です。

選択肢 5 ですが
家族システムが二分されているということは、各構成員がどちらかのシステムの構成員であるということです。従って、各構成員が「家族への帰属感を全くもたない」わけではなく、部分的な帰属感を有すると考えられます。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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