公務員試験 H28年 法務省専門職員 No.7解説

 問 題     

パーソナリティに関する記述 A〜D のうち,妥当なもののみを挙げているのはどれか。

A.パーソナリティの代表的な記述の仕方として類型論と特性論の二つがある。クレッチマー(Kretschmer, E.)は,体格を肥満型,細長型及び筋骨型に,気質を躁うつ気質,統合失調症気質及び粘着気質に分類した上で,これらの組合せにより精神病傾向の程度を尺度化した。このように,類型から特性を導くことはできるが,特性から類型を導くことはできない。

B.オルポート(Allport, G.W.)は,パーソナリティは個人の内部で,環境へのその人特有な適応を決定するような,精神物理学的体系の力動的機構である,とした。また,その基盤を成す心理・生物学的要因として身体・知能・気質を挙げた。

C.ミシェル(Mischel, W.)の主張をきっかけとした,パーソナリティの一貫性をめぐる論争を経て,パーソナリティ関連行動にはそれまで仮定されていたほどの通状況的一貫性はないが,人の行動が状況だけで決定されるわけでもなく,個人的な規則性や統一性つまりパーソナリティは確かに存在する,という折衷的な見方が一般的になった。

D.パーソナリティの基盤を成す個人の特性であると考えられている気質について,トマスとチェス(Thomas, A. & Chess, S.)は,子どもの気質として九つの次元と三つの類型を見いだすとともに,親の養育態度が子どもの気質を決定付けるとした。

1.A,B
2.A,C
3.A,D
4.B,C
5.C,D

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

記述 A ですが
「アイゼンクが人の類型は特性から形成されると考え、類型論と特性論の統合を目指した」ことを想起するなどにより、「類型から特性を導くことができるが、特性から類型を導くことはできない」という記述は妥当ではないと判断できるのではないでしょうか。記述 A は誤りです。

記述 B は妥当です。
オルポートは共通特性と個人的特性に、基礎をなす身体・知能・気質を加え、個人の性格を表示する心誌 (サイコグラフ) を作成しました。

記述 C は妥当です。

記述 D ですが
トマスとチェスによるニューヨーク縦断研究で、9つの気質の特性リストと、三つの類型について検討しました。気質とは、発達初期から見られはじめる行動上の個人差です。遺伝的要因もあり、親の養育態度が気質を決定づけるわけではありません。記述 D は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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