問 題
うつ症状の改善に効果があるとされる,SSRI (Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)と呼ばれる薬剤の作用機序に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.脳内の隣り合う二つの神経細胞の接続部分であるシナプスの数を増加させ,シナプスの神経伝達機能を全般的に向上させる。
2.シナプス前神経終末において,神経伝達物質のうちのセロトニンの放出を選択的に増加させ,それによりシナプス間隙のセロトニンの量を増加させる。
3.シナプス前軸索への電気的あるいは化学的なインパルスの強度を高めることにより,シナプス前神経終末からのセロトニンを含む神経伝達物質全般の放出量を増加させる。
4.シナプス後細胞にある神経伝達物質受容体のうち,セロトニンの受容体の数を選択的に増加させ,それによりセロトニンの伝達量を増加させる。
5.シナプス後細胞にある神経伝達物質受容体に取り込まれなかったセロトニンが再度シナプス前神経終末に取り込まれるのを防ぐことにより,シナプス間隙のセロトニンの量を増加させる。
解 説
SSRI は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤です。神経同士の間隙であるシナプスにおける、神経伝達物質の一種であるセロトニンの再取り込みを阻害します。そうすることで、シナプスにおけるセロトニン濃度を高く保ちます。これがうつ症状の改善につながるというメカニズムです。
選択肢 1 ですが
「シナプスの数」を増加させるわけではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
セロトニンの「放出」を選択的に「増加」させるわけではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
「神経伝達物質全般の放出量を増加」させるわけではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
「受容体の数」を選択的に「増加」させるわけではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
以上より、正解は 5 です。
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