公務員試験 H28年 国家一般職(行政) No.69解説

 問 題     

我が国の生涯学習等に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.平成 12(2000)年の学校教育法の改正により,生涯学習の理念が示された。すなわち,同法第2 条に,国民一人一人が,国と郷土を愛し自己の人格を磨き,その生涯にわたり,公共の精神を尊びつつ個人の自己責任に基づく意思決定において学習することができるよう,その成果を適切に生かすことのできる個人の能力の活用が図られなければならないと規定された。

2.平成 15(2003)年の生涯学習振興法* の改正により,地方公共団体は,条例の定めるところに基づき,地方公共団体が指定する者に公の施設の管理の一部を行わせることができるとされた。また,同法により,博物館の指定管理者は株式会社とし,図書館の指定管理者は財団法人(現在は一般財団法人等)とすると規定された。

3.社会教育法は,OECD の成人教育推進国際委員会において,P.ラングランが提唱した社会教育の概念を取り入れて,平成 27(2015)年に制定された。同法では,社会教育は,社会において行われる教育と示され,社会教育の担い手である非営利組織(NPO)は,国民が実際生活に即する文化的教養を高め得るような環境を醸成するように努めなければならないとされた。

4.大学等の高等教育機関は,地域・社会における「知の拠点」として,社会人入試,夜間・昼夜開講制,通信教育,履修証明制度,公開講座などを実施している。このうち,公開講座は,多くの大学で開講され,大学における教育・研究の成果を直接,地域住民などに学習機会として提供する役割を担っている。

5.「放課後子ども総合プラン」は,文部科学省が実施している放課後児童クラブと総務省が公民館等の施設で実施している放課後子供教室とが連携した形で実施されている。あわせて,子供たちの交流活動を通じて,地域住民に学習や様々な体験の場が提供されており,地域住民の生涯学習の成果を活用する場としての役割を担っている。

(注) *正式には,「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律」

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
「生涯学習」の理念が、「学校教育法の改正」により示されたのは H18 (2006) 年の学校教育法の改正です。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
公の施設の管理の一部を民間にまかせる、いわゆる「指定管理者制度」は「地方自治法」の改正により導入されました。「生涯学習振興法の改正」によりではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
社会教育法は、昭和24年に施行されています。「平成 27 年制定」という新しい法律ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
大学等の高等教育機関、及び、公開講座についての記述です。

選択肢 5 ですが
放課後子ども総合プランは、厚生労働省所管の「放課後児童健全育成事業(学童クラブ)」と、文部科学省所管の「放課後子供教室」を一体的あるいは連携して実施するという形で実施されています。文部科学省と総務省の連携ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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