公務員試験 H28年 国家一般職(行政) No.66解説

 問 題     

近代教育思想に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.「近代教育学の祖」と呼ばれるI.カントは,人類の平和実現を願い,万人にあらゆる知識を教授するパンソフィアを唱えた。また,教育方法として直観教授を重視し,世界最初の絵入り教科書『世界図絵』を著した。

2.「幼稚園の創始者」と呼ばれるJ.J.ルソーは,幼児教育施設と保護者養成施設を統合した「一般ドイツ幼稚園」を開設した。そこでは「恩物」と呼ばれる彼の考案した遊具が用いられた。主著に『人間の教育』がある。

3.M.コンドルセは,『公教育の全般的組織に関する法案』を発表し,教育の機会均等,単線型学校制度,公立学校の無償制,教育の政治・宗教権力からの独立などの学校教育の仕組みを提示した。

4.F.A.フレーベルは,教育という人間社会の営みを学問の対象とし,「人間は教育を通してはじめて人となる唯一の被造物である。」と述べた。彼が大学で行った教育学の内容は『教育学講義』としてまとめられている。

5.J.F.ヘルバルトは,教育小説『エミール』を著し,教育は社会規範や学芸を注入するものであってはならないとする消極的教育,子供の自然な発達の歩みに即した教育を主張した。「子供の発見者」と呼ばれる彼の教育思想は,近代教育学の基盤となっている。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
「近代教育学の祖」と呼ばれ、世界図絵を著したのは「コメニウス」です。カントではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
『人間の教育』、「幼稚園の創始者」とくれば、フレーベルです。ルソーではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
コンドルセについての記述です。

選択肢 4 ですが
「人間は教育を通してはじめて人となる唯一の被造物である。」は、カントの有名な発言です。また、『教育学講義』についての記述もカントについてです。フレーベルではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
『エミール』の著者は、ルソーです。ヘルバルトではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。
類題 法務 H26 no31

コメント