問 題
ストック調整モデルに基づく設備投資理論を考える。すなわち,t 期の望ましいとされる最適資本ストック(Kt*)と(t – 1)期の実際の資本ストック(Kt-1)の差の全てを投資するのではなく,その一部のみが t 期に投資として実現されるとする。
伸縮的加速子を 0.5 としたとき,t 期の投資需要(It)は,投資関数 It = 0.5(Kt* – Kt-1)で与えられており,最適な資本ストック Kt* は生産量 Yt と利子率 r を考慮した Kt* = 0.8 (Yt/r) によって決まっているものとする。
利子率は 1.5 % で一定とし,第1 期(t = 1)の生産量が 60 兆円,第 0 期(t = 0)の実際の資本ストックが 6 兆円とした場合の第1 期の投資需要として妥当なのはどれか。なお,ここでは資本減耗率はゼロとし,名目利子率と実質利子率の区別は無視するものとする。また,利子率 r の値は% 表示の値(= 1.5)を用いるものとする。
1. 6 兆円
2. 13 兆円
3. 26 兆円
4. 30 兆円
5. 45 兆円
解 説
問われているのが「第1期の投資需要」なので、I1 を求めればよいです。
まず、投資関数の式に t = 1 を代入します。すると、 I1 = 0.5(K1* – K0)です。K0 は、0 期の資本ストックです。問題文より、6兆円とわかります。K0 = 6 です。後は、K1* がわかれば I1 を求めることができます。
Kt* = 0.8 (Yt/r) で、求めたいのが K1* なので、t = 1 を代入します。K1* = 0.8 (Y1/r) です。Y1 は、第 1 期の生産量です。問題文より、60 兆円です。また、r は 1.5 を使えと指示されています。従って、K1* = 0.8 (60/1.5) = 32 です。
I1 = 0.5(K1* – K0)= 0.5(32 ー 6) = 13 とわかります。
以上より、正解は 2 です。
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