問 題
無効等確認訴訟及び不作為の違法確認訴訟に関する ア〜オ の記述のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。
ア.行政事件訴訟法において,取消訴訟とは別に無効等確認訴訟の訴訟類型が特に定められていることから,無効等確認訴訟で無効原因に当たる瑕疵を主張する必要があり,取消訴訟で当該瑕疵を主張したとしても,当該取消訴訟では審理することができない。
イ.行政処分が無効であれば,その法的効力は当初から存在しないことになるから,行政事件訴訟法において,無効等確認判決については,取消判決の第三者効の規定が準用されている。
ウ.無効等確認訴訟と取消訴訟とは,行政処分の瑕疵が無効原因に当たるか取消原因に当たるかの違いにすぎないことから,行政事件訴訟法において,無効等確認訴訟の原告適格については,取消訴訟の原告適格の規定が準用されている。
エ.不作為の違法確認訴訟の原告適格は,行政事件訴訟法上,処分又は裁決についての申請をした者とされており,同訴訟は法令に基づく申請制度の存在が前提とされ,当該申請制度は法令の明文上の定めがあることが必要である。
オ.行政事件訴訟法において,取消訴訟は出訴期間の定めがあるが,不作為の違法確認訴訟は出訴期間の定めはない。
1.エ
2.オ
3.ア,イ
4.イ,オ
5.ウ,エ
解 説
記述 ア ですが
無効等確認訴訟が、時機に後れた取消訴訟といわれることがあるのだから、時機に後れていない状況において取消訴訟を提起し、そこで無効原因に当たる主張をすれば、審理されると考えられます。記述 ア は誤りと考えられます。
記述 イ ですが
無効等確認判決について、取消判決の第三者効の規定は「準用されていません」。そもそも法律関係に変動がいないためとされます。記述 イ は誤りです。
記述 ウ ですが
無効等確認訴訟については、取消訴訟の原告適格に関する行訴法 9 条が準用されていません。そして、原告適格を制約する 36 条が置かれています。記述 ウ は誤りです。
記述 エ ですが
前半部分は妥当です。処分又は裁決についての申請をした者です。(行政事件訴訟法 37 条)。申請が法令に基づくことは訴訟要件であるという説に判例は立ちます。(最判 S47.11.16)。そして、法令に基づく申請とは、明文上である必要はありません。法令解釈上、原告の申請権が認められればよいです。記述 エ は誤りです。
記述 オ は妥当です。
不作為状態が継続中であれば、出訴できます。
以上より、正解は 2 です。
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