問 題
赤外吸収スペクトルに関する次の記述のA~Iに当てはまるものを語群から選び出しそれぞれの番号を記せ。
約10,000から100cm-1の範囲の赤外放射は有機物分子によって吸収され、分子Aのエネルギーに変換される。これに伴って分子のBが変化する場合に、その構造に特有の赤外吸収スペクトルが観察される。このことを利用し、有機化合物の置換基の種類、多重結合の有無、C 異性などを決定するのに用いられる。
以下の模式図は赤外吸収スペクトルの一例であり、縦軸はD、横軸はEを示す。Fが現れる位置により分子構造の同定が可能であるが、Bが変化しないGなどの分子は赤外吸収を示さない。食品衛生法においては主としてHの確認試験に用いられ、これにはI分光器であるフーリエ変換型赤外分光光度計が用いられる。
<語群>
①振動②結合③分極率④双極子モーメント⑤シス-トランス⑥光学⑦吸収強度⑧透過率⑨波長⑩波数、⑪極大吸収、⑫特性吸収帯、⑬窒素、⑭塩化水素、⑮残留農薬、⑯食品添加物、⑰分散型、⑱干渉型
解 説
赤外吸収スペクトル測定法では、分子を構成する原子核間の「振動」状態の変化に伴い光を吸収する現象を利用しています。「双極子モーメント」の変化を伴う振動変化を検出します。いいかえると、双極子モーメントが変化しないような振動については検出できません。従って、「N2」 のような等核二原子分子の振動などは吸収されません。
赤外吸収スペクトルは、縦軸が「透過率」、横軸が「波数」をとります。赤外吸収スペクトルから、多重結合の有無、官能基、「シスートランス」異性などについての情報を得ることができます。構造や官能基の種類に応じた「特性吸収帯」が見られます。「食品添加物」の確認試験等に用いられます。
赤外分光光度計は、光を照射して試料通過後に回折格子で分光する「分散型」と、干渉波を作り出し、フーリエ変換を用いることで一気に測定する「干渉型」に大きく分類されます。干渉型のメリットとして、各波長測定時における時間のズレがない、波数分解能が高く、測定波数域の変更も容易といった点があげられます。コストダウンが進んだ結果、現在は「干渉型」の光度計が多く用いられています。
以上より
A 振動 ①
B 双極子モーメント ④
C シスートランス ⑤
D 透過率 ⑧
E 波数 ⑩
F 特性吸収帯 ⑫
G 窒素 ⑬
H 食品添加物 ⑯
I 干渉型 ⑱ です。
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