公務員試験 H27年 国家一般職(農学) No.3解説

 問 題     

土壌有機物及び土壌への有機物施用に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. 植物や動物の遺体は土壌中の微生物などによって分解される。成分ごとの分解速度は速い方からタンパク質アミノ酸や低分子の糖植物体中のリグニンセルロースの順である。セルロースの分解は白色腐朽菌によってのみ可能で極めて時間がかかる。

2. 土壌有機物をアルカリ溶液で抽出した際に不溶な部分をフルボ酸という。抽出された液体は濃赤褐色でそれを酸性にした場合に溶ける有機物を腐植酸といい沈殿する画分をヒューミンという。

3. 土壌有機物の機能には耐水性団粒の増加による通気性と保水性の向上分解過程で窒素リン酸などの栄養分を放出することによる植物への養分供給などがある。また土壌有機物には腐植物質の増加によって陽イオン交換量を増大させ養分保持能を高める効果もある。

4. 有機質肥料の場合成分含有量の全てが植物に利用されるわけではない。ほとんど全て利用可能なのはリン酸のみである。窒素やカリには微生物分解を受けにくいものも多く利用できる割合は有機質肥料の種類によって異なり分解率は高くても1年間に10% 程度である。

5. 樹皮を材料としたバーク堆肥などはC/N 比が10前後であり分解が速く速効性である。また易分解性の窒素が多く肥料的価値は主に窒素にある。鶏ふんは多孔質で保水性がよいが,C/N 比が20以上で分解が遅い。牛ふんのC/N 比や分解速度はその中間である。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
白色腐朽菌(ハクショクフキュウキン)は木材に含まれる「リグニン」を選択的に分解する菌です。木材を白くします。セルロースの分解ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
「まずアルカリ溶液抽出して不溶な部分」が「ヒューミン」です。分子量がとても大きめです。次にアルカリで溶けた方を酸性にした時沈殿するのが「フミン酸」です。分子量が大きめです。最後に分子が小さめで、酸でも沈殿しないのが「フルボ酸」です。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は、妥当な記述です。

選択肢 4 ですが
有機質肥料におけるリン酸は、有機物やカルシウムと結合しています。これが微生物の分解を受け、徐々にリン酸イオンとなり利用されます。「ほぼ全て利用可能」という記述は妥当ではないと考えられます。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
バーク堆肥と鶏ふんが逆と考えられます。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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