公務員試験 H27年 国家一般職(化学) No.26解説

 問 題     

溶解度積に関する次の記述の㋐、㋑に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。ただし、硫酸バリウム (BaSO4) の溶解度積を 1.0×10-10mol2・L-2 とする。

「過剰量の硫酸バリウムを純水に加えると、純水 1L 当たり硫酸バリウムが ( ㋐ )mol 溶けることとなる。濃度 ( ㋐ ) mol・L-1 硫酸バリウム水溶液 100mL に塩化バリウム (BaCl2) を1.0×10-3 mol 添加したとき溶液の体積変化を無視すると溶存している SO42- の濃度はおよそ ( ㋑ ) mol・L-1 となる。」

    ㋐      ㋑
1.5.0×10-11  1.0×10-8
2.5.0×10-11  1.0×10-5
3.1.0×10-10  1.0×10-8
4.1.0×10-5  1.0×10-8
5.1.0×10-5  1.0×10-5

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

BaSO4 → Ba2+ + SO42- です。溶解度積とは、難溶性塩における溶けている陽イオン濃度と陰イオン濃度の積です。硫酸バリウムでいえば、[Ba2+]×[SO42-]です。化学反応式から明らかに[Ba2+]=[SO42-]です。また、この濃度は正に「溶解度」です。

従って、溶解度を S とおけば、溶解度積は S2 です。(溶解度をかけたもの ということで、正に字面通りの意味となります。)つまり、S2 = 1.0 × 10-10 なので、S = 1.0 × 10-5 です。正解は 4 or 5 です。

そして、溶解度積は温度によって決まる定数です。従って、BaCl2 を溶かしても、[Ba2+]×[SO42-= 1.0 × 10-10です。

今、100mL の溶液に、BaCl2 1.0 × 10-3 mol 溶かしているので、Ba2+ の濃度はほぼ 1.0 × 10-2 mol/L です。従って、[SO42-] は、1.0 × 10-8 と考えられます。(∵ [Ba2+] とかけて 1.0 × 10-10)。

以上より、正解は 4 です。
 
【「ほぼ 1.0 × 10-2 mol/L」 について補足】
 BaCl2 → Ba2+ + 2Cl です。Ba2+ が、100ml 中に 1.0 × 10-3 mol なので、1L(=1000ml)中には 1.0 × 10-2 mol となります。※実際には、硫酸バリウムから溶け出す Ba2+溶液中には存在しますが、こちらは 「1.0 × 10-5 mol/L」 という濃度です。塩化バリウム側から溶け出す 「1.0 × 10-2 mol」という濃度と比べれば3桁も小さいので、無視します。従って、「ほぼ」1.0 × 10-2 mol/L です。
【「ほぼ 1.0 × 10-2 mol/L」 について補足 終了】

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