公務員試験 H27年 国家一般職(化学) No.17解説

 問 題     

分子 X 中の原子 A と共有結合している水素原子と、分子 Y 中の原子 B の間に図の点線のように水素結合が形成している。

これらの原子に関する、記述 ㋐~㋓ のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ 水素結合が形成されるには、A は電気陰性度が極めて大きいものである必要があり、強い水素結合が形成されるのは窒素、酸素、フッ素の 3 種類にほぼ限られる。

㋑ 水素結合が形成されるには、B は電気陰性度が小さいものであることに加え非共有電子対をもたない必要がある。

㋒ A、H、B の三つの原子は折れ線上に位置し、A-H-B のなす角が 109° となるとき最も強い結合が形成される。

㋓ B と H の水素結合の結合距離は、B と H の共有結合の結合距離より長く、B と H のファンデルワールス半径の和より短い。

1.㋐
2.㋐、㋓
3.㋑
4.㋑、㋒
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

記述 ㋐ は「ほぼ限られる」といわれると自信が持てないものではないでしょうか。いったん保留した方がよい記述と思われます。

記述 ㋑ は誤りです。
水素結合の代表例としては水分子間における HーOーH「・・」O があげられます。この例において、問題文の B に対応するのはもう1つの水分子における O です。電気陰性度は大きい原子です。また、非共有電子対もあります。

記述 ㋒ ですが
共有結合との混同を狙った記述です。折れ線上ではなく直線状にあることもあり様々な結合角を形成します。また、結合の強さは様々な要因に左右されます。「A-H-B が109°の時最も強い結合が形成される」と言い切っているのは明らかに誤りです。

記述 ㋓ は正しい記述です。
共有結合よりは長く分子間力であるファンデルワールス力よりは近くなります。共有結合よりは弱いが分子間力よりははるかに大きいのが水素結合の結合力です。結合力と符号する記述となっています。

㋑、㋒ が誤りで、㋓ が正しいです。

以上より、正解は 2 です。
㋐ は、正しい記述であったとわかります。

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