公務員試験 H27年 国家一般職(化学) No.13解説

 問 題     

水の相平衡に関する次の記述の㋐、㋑、㋒に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「水(液相)と氷(固相)が共存しているとき、それぞれの相の( ㋐ )は等しくなっている。このときの水及び氷のモルエントロピーを Sl、Ss、モル体積を Vl、Vsとすると、固液平衡時からの微小圧力変化 dp 及び微小温度変化 dT と、二つの相におけるモルエントロピーの差とモル体積の差は( ㋑ )の関係式で表すことができる。

水及び氷のモル体積、モルエントロピーの比較から、圧力の増加によって氷の融点は( ㋒ )することが分かる。」

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

異なる2相が共存、すなわち平衡状態にある時、それらの「化学ポテンシャル」が等しいです。(これは基礎知識です。)正解は 1~3 です。
 
次に、先に㋒を考えた方がわかりやすいと思われます。スケートリンクでスケート靴により圧力がかかると氷が溶けてそれでシャーッと滑ることができる という事実が知られています。一般的に言うと「圧力が高まると、融点が小さく」なります。

先のスケートの話で考えればもともと0°で水⇄氷 である所に圧力がかかって融点が下がり-5℃で水⇄氷 になると-2℃であるような室内の氷は水になる ということです。※数値は適当です。従って、㋒は低下です。正解は 1 or 3 です。

㋑ ですが
相平衡について、 dp/dT = ΔS/ΔV です。これは「クラペイロンの式」として知られています。

以上より、正解は 1 です。

dp/dT = ΔH/TΔVの方を知っている人も多いと思います。これは、dp/dT = ΔS/ΔV と同じ式です。大体導出の途中で出てきたのを目にしたことがあるのではないかと思います。以下、導出です。

G = H-TS なので、ΔG = ΔH ーTΔS です。相平衡について考えているので、ΔG = 0 です。∴ ΔH/T = ΔS となります。

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