公務員試験 H27年 国家一般職(教養) No.35解説

 問 題     

東西冷戦時代に関する記述として最も妥当なのはどれか。

  1. 第二次世界大戦後米国はギリシャやトルコに経済・軍事援助を与えてソ連の拡大を封じ込める政策(トルーマン=ドクトリン)を宣言しまたヨーロッパ経済復興援助計画(マーシャル=プラン)を発表した。こうした動きにソ連などはコミンフォルムを結成して対抗し以降、「冷戦」と呼ばれる緊張状態となった。
  2. 第二次世界大戦後朝鮮半島は米ソ両国によって南北に分割統治されていた。米国がソ連と中国の連携を警戒し境界線を越えて北側に侵攻したことから朝鮮戦争が勃発し、米国軍とソ連軍との直接的な軍事衝突が起きた。その結果北に朝鮮民主主義人民共和国南に大韓民国が建国された。
  3. 第二次世界大戦後ドイツへの賠償請求をめぐって米・英・仏とソ連が対立し東西の緊張が高まった。米ソ両国によって東西ドイツの国境線上にあるベルリンに「ベルリンの壁」が築かれたがソ連の解体後分割統治に反発したドイツ国民によって壁は破壊された。
  4. キューバ近海にミサイル基地を建設した米国に対し危機感を抱いたソ連がキューバの海上封鎖を行い基地の撤去を要求したことで米ソ両国間の対立が一挙に高まり全面衝突による核戦争の危機に直面した。最終的にソ連が米国のキューバへの不干渉を条件にミサイル基地を容認したことで危機は回避された。
  5. 第二次世界大戦後南北に分断されたヴェトナムではホー=チ=ミンが指導する南ヴェトナム解放民族戦線によりソ連が支援する南ヴェトナム政府に対して武装解放闘争が展開されヴェトナム戦争に発展した。米国は戦争の早期終結を望む国際世論の高まりを受けてこの紛争に介入した。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は、妥当な記述です。

選択肢 2 ですが、朝鮮戦争は、北朝鮮軍の侵攻に対し、米国主体の国連軍が派遣される という流れです。それに対し中国義勇軍が派遣され、ソ連の仲介で休戦会談が開かれて、北緯 38 度線付近で膠着します。ちなみに、南に大韓民国、北に朝鮮民主主義人民共和国が成立したのは、朝鮮戦争以前、1948 年です。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが、「米ソ両国によってベルリンの壁が築かれた」わけではありません。東ドイツが、西ベルリンへの市民の脱出防止のために作ったものです。ちなみに、ベルリンの壁構築は 1961 年です。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は、いわゆるキューバ危機についての記述です。「ソ連がこそっと作って、米国が封鎖」です。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は、ベトナム戦争についての記述です。トンキン湾事件という、ベトナム軍がアメリカ軍に攻撃したという理由で、アメリカ軍が北ベトナム爆撃を開始したが、その後ソ連・中国の支援を受けた南ベトナム解放民族戦線のゲリラ的抵抗に苦しむ という流れです。「米国が、戦争早期終結を望む世論の高まりを受けて紛争に介入」というのは明らかに誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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