公務員試験 H27年 国家一般職(教養) No.34解説

 問 題     

我が国における教育の歴史に関する記述として最も妥当なのはどれか。

  1. 平安時代には貴族の子弟を対象とした大学が盛んに設立されそこでは儒教に代えて仏教・道教を中心とする教育が施された。また藤原氏が設けた綜芸種智院北条氏が設けた勧学院など大学の寄宿舎に当たる大学別曹も設けられた。
  2. 鎌倉時代には足利氏が一族の学校として鎌倉に足利学校・金沢文庫を設立した。足利学校では朝廷の儀式・先例である有職故実や古典の研究が行われ朝廷の歴史を記した『吾妻鏡』が編まれた。
  3. 江戸時代には貨幣経済の浸透に伴い一般庶民も読み・書き・算盤などの知識が必要になったことから幕府はそのような実用教育を中心とした寺子屋を全国に設けた。寺子屋は下級武士によって経営されたが特に貧農層については月謝の負担が大きく江戸時代末期には衰退していった。
  4. 明治時代には政府は富国強兵と殖産興業の実現に向けて教育機関や教育内容の整備を進めた。文部大臣森有礼の下で帝国大学令・師範学校令などの学校令が初めて公布され学校体系の基本が確立された。
  5. 第二次世界大戦後には米国教育使節団の勧告により修身・日本歴史・地理の授業が一時停止されるとともに複線型・男女別学の学校体系に改められた。昭和22(1947)年には教育基本法が制定され義務教育期間が12年から9年に短縮された。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが、綜芸種智院(しゅげいしゅちいん)は、空海が設立した、庶民教育目的の学校です。また、勧学院は藤原氏です。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが、足利学校とは「下野国(しもつけのくに)足利の、儒学・易学の学校」です。上杉憲実が再興し、ザビエルにより「坂東の大学」と紹介されました。かつての日本における、現在の東大的に紹介されたということです。従って、足利氏が、一族の学校として設立したものではありません。

ちなみに、金沢文庫は、北条氏一門である金沢実時さんが作った私設図書館です。幕府滅亡後は称名寺が管理しました。よって、選択肢 2 は誤りです。また、吾妻鏡といえば、鎌倉幕府前半を編年体で記した歴史書です。

選択肢 3 ですが、寺子屋は、村役人、僧侶、神職、富裕な町人などが運営しました。(「個別指導塾」って、ある意味400年前と同じようなことなんですね !)下級武士によって、というわけではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は、妥当な記述です。

選択肢 5 ですが、「単線型・男女共学」に改められました。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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