公務員試験 H27年 法務省専門職員 No.57解説

 問 題     

逸脱理論に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. C. ロンブローゾは、犯罪者は一定の身体的な特徴をもっているとする生来性犯罪者説を批判し、犯罪者を取り巻く生活環境に関する調査を進め、社会的、経済的、文化的な要因のうち、とりわけ経済的な要因が犯罪の発生に大きな影響を与えていることを明らかにした。

2. E. ゴフマンは、差別や偏見をもった人々を批判する考え方のことをスティグマと定義し、そのスティグマをもった人々と差別や偏見をもった人々との間で対立が起こり、逸脱行動が生じることを明らかにした。

3. C. R. ショウと H. D. マッケイは、少年非行の発生率が高い地域は、地方の農村であることを明らかにし、農村の都市化を進行させることで少年非行の発生率を低減させることができると主張した。

4. A. K. コーエンは、非行副次 (下位) 文化は、下層階級出身の少年が、中流階級文化に対する反動形成的所産として生み出したもので、非功利性、破壊主義、否定主義などによって特徴付けられるものとした。

5. H. S. ベッカーは、逸脱行動をした者に対して負のラベルという罰を与えることで、逸脱行動をしたことについての反省を促し、逸脱行動をした人を改善更生させることができるとするラベリング理論を提唱した。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
ロンブローゾは、犯罪学の父とも呼ばれ、とりわけ「遺伝的要因」が犯罪の発生に大きな影響を与えると考えました。「経済的要因」ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
スティグマとは「通常その人が求められる属性から逸脱した属性」のことです。「差別や偏見をもった人々を批判する考え方」ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
ショウとマッケイは「都市中心部」で少年非行の発生率が高いことを明らかにしました。「地方の農村」ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当な記述です。

選択肢 5 ですが
ベッカーのラベリング論「行動に対する統制側の反応こそ、逸脱を再生産していく重要な要素である」という理論です。「負のラベル・・・を与えることで・・・反省を促し・・・改善更生」という理論ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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