公務員試験 H27年 法務省専門職員 No.51解説

 問 題     

都市の社会学に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. R. E. パークは、変動期にある大都市ニューヨークを社会的実験室として、他の都市から人々が流入することを制限し、都市問題や地域問題が発生するか否かを観察するなど、都市社会学の先駆的実践を行った。

2. E. W. バージェスは、都市は中心業務地区から放射状に発展し、いくつかの地帯に分けられ,都市の成長と共にそれぞれの地帯が外の地帯に侵入・遷移していくという同心円地帯理論を示した。

3. C. D. ハリスと E. L. ウルマンは、米国の都市における商業地域の分布状況について調査し,商業地域は水路を中心とした交通網に沿って、扇状に広がっていくことを明らかにし、扇形理論を提唱した。

4. H. ホイトは、多くの都市は、単一の核を中心として作られていくのではなく、いくつかの核を中心として作られていき、都市の規模が一定を超えると、いくつかある核は次第に集約されていくという多核心理論を提唱した。

5. L. ワースは、大都市における高所得者層が居住する地域に特有の生活様式をアーバニズムと名付け、その特徴として、居住している住民の同質性や連帯感の強さ、人口密度の低さなどを挙げた。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが
パークは、人間生態学や都市社会学の生みの親です。シカゴ学派と呼ばれる仲間と共に、動物や植物の個体群を対象とする生態学の発想を援用しながら、社会諸事象を空間的に表現したりと、実践的な調査を行い、発展させました。「他の都市から人々が流入することを制限」したりはしていません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当な記述です。
バージェスの同心円地帯理論です。

選択肢 3,4 ですが
ハリスとウルマンが提唱したのは「多核心モデル」です。ホイトが提唱したのが「扇形(せんけい)理論」です。それぞれの選択肢の主語が逆です。選択肢 3,4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
「ワース」ー「アーバニズム」という、人名と用語の対応は妥当です。アーバニズムとは「都市に特徴的な生活様式」のことです。「大都市における高所得者層が居住する地域に特有の生活様式」ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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