公務員試験 H27年 法務省専門職員 No.44解説

 問 題     

我が国の就労支援制度に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. 障害者の雇用の促進等に関する法律に基づき、常用労働者数に対して一定の割合で障害者を雇用することが事業主に義務付けられており、その割合は、全ての民間企業においては8%、 国及び地方公共団体においては 10 % である。この割合を超えて障害者を雇用した事業主に対しては,雇用している障害者一人につき一定額の障害者雇用調整金が支給される。

2. トライアル雇用奨励金とは、職業経験、技能、知識等の不足から安定的な就職が困難な求職者を一定期間雇用した事業主に対し、奨励金が支給されるものである。当該奨励金の支給要件は、当該求職者を公共職業安定所 (ハローワーク) の紹介によって雇い入れたこと、当該求職者を原則6か月間トライアル雇用した後、正規雇用したことの二点である。

3. 生活困窮者自立支援法に基づく生活困窮者就労準備支援事業は、福祉事務所にその実施が義務付けられている。同法において同事業の対象は、就労能力を有すること、就労意欲があること,就労に当たって阻害要件がないことのいずれかの要件を満たす生活保護受給者と規定されている。

4. 求職者支援法* は、特定求職者の職業及び生活の安定に資することを目的としている。同法において、特定求職者とは、公共職業安定所に求職の申込みをしている者(雇用保険法における被保険者や受給資格者を除く。)のうち、労働の意思及び能力を有しているものであって、職業訓練その他の支援措置を行う必要があるものと公共職業安定所長が認めたものをいう。

5. 2018 (平成30) 年から予定されている厚生年金 (報酬比例部分) の支給開始年齢の段階的引上げに伴い、 2014 (平成26) 年に高年齢者等の雇用の安定等に関する法律が改正された。同法では、事業主に、2018 (平成30) 年時点において、同時点の厚生年金 (報酬比例部分) の支給開始年齢である 70 歳までの継続雇用を希望する者全員を継続雇用することを義務付けている。

(注)* 正式には「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律」

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
「割合が大きすぎる」と感じるのではないでしょうか。2019 年時点において、民間企業の法定雇用率が 「2.0% から 2.2%」 に引き上げられたところです。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
トライアル雇用は原則三ヶ月です。また、トライアル雇用後正規雇用しなくても奨励金が事業主に対し支給されます。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
生活困窮者自立支援制度は「現在は生活保護を受給していない」人が対象です。また、福祉事務所に実施が義務付けされているわけではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当な記述です。

選択肢 5 ですが
2018 年時点で「70 まで、継続雇用義務付け」は少し長過ぎると判断できるのではないでしょうか。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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