公務員試験 H27年 法務省専門職員 No.33解説

 問 題     

次は、ある調査方法に関する記述であるが、A B Cに当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

A とは、「状況に参加しつつ、そこで生じる出来事を観察・記録する」という、フィールドにおける調査者の基本的スタンスに言及するものである。

例えば、小学校の教室の後ろに座って,1日の学校生活の流れを追っている研究者を思い浮かべればよい。授業をするのは担任教師の役目であり研究者は基本的には観察者である。しかしながら同時に、研究者は、純粋な観察者ではありえない。そもそも教師以外の大人の存在が、教室の状況を普段とは異なるものにするだろうし,また必然的に、時間の経過とともに、研究者と教師や子どもたちの間に B が生まれ、そこから新たな関係が立ち上がってくるからである。

A 法が用いられた著作の例として、W. F. ホワイトの『C 』がある。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

A ですが
「状況に参加しつつ」とあるので「参与観察」です。ナラティブ分析とは、研究対象の物語を分析する手法です。質的研究の一つです。

B ですが
「純粋な観察者ではありえない。・・・研究者と教師や子どもたちとの間に B が生まれ・・・」という文章から「相互作用」が妥当であると判断できるのではないでしょうか。ちなみに、適正処遇交互作用はクロンバックが提唱した理論です。「学習者の特性に適した教授方法を採らなければ、最大の学習効果を上げることはできない」という考え方です。 

C ですが
参与観察法が用いられた例として、ホワイトの「ストリート・コーナー・ソサエティ」があります。イタリア系移民のコミュニティーへの参与観察の記録です。欧米におけるポーランド農民という選択肢は、トマスとズナニエツキ『ヨーロッパとアメリカにおけるポーランド農民』を意識したものと考えられます。こちらは「ドキュメント分析」の手法の代表作です。

以上より、正解は 3 です。

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