問 題
J. デューイの教育思想に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1. 「公教育の全般的組織についての報告と法案」において、フランスの近代社会における公教育の基本原理を提唱した。その主なものは、身分階級に応じた教育の推進、宗教教育の奨励、男女別学の教育などであった。
2. 「白紙説」を説き、経験こそが子どもの発達に決定的役割を果たすと主張した。また、教育の基礎は習慣の形成であるとして、子どもの心を方向付ける善き習慣の形成のためには、しつけが重要であるとした。
3. 教育の目的・目標は実践哲学から、それに到達するための教育方法は心理学から導き出されるべきであるとし、教育的行為を系統立てて法則化した10段階の段階的教授法を提唱するなど、科学的教育学を初めて樹立した。
4. ギムナジウムと呼ばれる少年収容施設で非行少年の教育にあたり、子どもの全面発達を促し、かつ労働能力を準備させる手段としての生産労働を重視した。また、自らの教育実践を通じて、自治集団こそが真の意味で自立した人間を形成できるとした集団主義教育を提唱した。
5. シカゴ大学に赴任した際に開設した実験学校で、自らの教育哲学を実践し、その報告を『学校と社会』に著した。この中で、教育は、経験の再構成であり、子どもの生活経験に基づき、子どもの自発活動が中心でなければならないと主張した。
解 説
デューイは「学校と社会」や「民主主義と教育」の著者です。シカゴに実験学校を解説し、経験主義、問題解決学習を提唱しました。
選択肢 1 ですが
「公教育の全般的組織についての報告と法案」は、フランスのコンドルセです。デューイではありません。また、コンドルセは「近代公教育のパイオニア」と呼ばれ、無料、男女共学、政府による責任を持った義務教育といった主張を行いました。「身分階級に応じた教育、男女別学」ではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
「白紙説」はジョン・ロックです。デューイではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
教育的行為を系統立てて法則化し、段階的教授法を提唱したのは、ヘルバルトと弟子らです。ヘルバルトが 4 段階教授法を開発し、弟子らにより 5 段階に発展しました。デューイではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
集団主義教育について、クループスカヤが理論化し、実践して一般化したのはマカレンコです。デューイではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当な記述です。
以上より、正解は 5 です。
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