問 題
道徳性の発達に関する記述 A~D のうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。
A. ピアジェ (Piaget, J.) は、道徳性の発達を、大人からの拘束による他律的な道徳観から、仲間との協同による自律的な道徳観への変化として捉えた。つまり、一方的に大人の価値観を押し付けるだけでは他律的な道徳性しか育たず、子どもが仲間や社会に働き掛けることによって自律的な道徳性が育つと考えた。
B. コールバーグ (Kohlberg, L.) は、ピアジェの認知発達的な考え方を引き継ぎ、罰と服従への志向 (罰や制裁を回避し、権威に対し服従していく) から、法と秩序志向(決められた義務を果たし、社会秩序を守る)までの6段階の道徳性の発達段階を提唱した。
C. ギリガン (Gilligan, C.) は、コールバーグの理論が西洋人中心の考え方であると批判し、道徳性の発達には文化による違いがあり、東洋人は、人間関係、気くばり、共感などを主要とする「配慮と責任」の道徳性を発達させるとし、5段階の発達段階を提唱した。
D. チュリエル (Turiel, E.) は、道徳的な判断や行動の基盤となる社会的認識には、「道徳(正義や福祉や権利といった価値概念)」、「慣習(社会システムに関する概念)」、「個人(個人の自由や意志に関する概念及び自己概念)」という3領域があり、これらの概念間の調整が道徳の発達において重要だとした。
1. A B
2. A C
3. A D
4. B C
5. B D
解 説
記述 A は妥当です。
記述 B ですが
6 段階の道徳性の発達段階は、罰と服従志向から「普遍的な倫理的基準」までの 6 段階です。「法と秩序志向」までではありません。記述 B は妥当ではありません。
記述 C ですが
ギリガンは、師のコールバーグの理論が「男性中心主義」であると指摘し、「ケアの理論」を提唱しました。「西洋人中心」と批判したわけではありません。記述 C は妥当ではありません。
記述 D は妥当です。
以上より、正解は 3 です。
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