問 題
教育社会学に関するA~Dの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。
A. I.イリイチは、著書『脱学校の社会』の中で、学校化という概念を取り上げた。学校化とは、本来学習者の必要に基づいて自発的に行われるはずの学びが、学校によって他律的に既存の知識を伝達される過程に転化し、その過程が自明化している状態であるとされる。
B. J.ハーバーマスは、高等教育の発展段階説を唱えた。彼は、高等教育制度は該当年齢人口に占める大学在学率に対応して、エリート段階、ユニバーサル段階、マス段階の順で発展していき、最終段階であるマス段階は、高等教育をめぐる諸問題が解決された段階であるとした。
C. M.トロウは、著書『ハマータウンの野郎ども』の中で、労働者階級の子どもたちが、労働者文化に抵抗しながらも、学校教育に馴染めずやむを得ず労働者文化に順応していく様子を描写し、これを予期的社会化と呼んだ。
D. E.デュルケムは、著書『教育と社会学』の中で、教育を、先行世代が後続世代に対して行う組織的・系統的な社会化と規定した。彼は、教育現象を社会的事実として客観的に把握することを主張した。
1. A B
2. A C
3. A D
4. B C
5. B D
解 説
記述 A は妥当です。
イリイチは「脱学校の社会」の著者です。
記述 B ですが
M.トロウによる発展段階説についての記述です。ハーバーマスではありません。トロウは、進学率に伴い、高等教育が、エリート型→マス型→グローバル・アクセス型へと移行すると考えました。これにより高等教育の目的観は、人間形成・社会化→知識・技能の伝達→新しい広い経験の提供 という流れで変わっていくと考えました。発展の順も違います。記述 B は誤りです。
記述 C ですが
「ハマータウンの野郎ども」は、ポールウィルスの著作です。M.トロウではありません。記述 C は誤りです。
記述 D は妥当です。
デュルケムについての記述です。
以上より、正解は 3 です。
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