公務員試験 H27年 国家一般職(行政) No.61解説

 問 題     

古典的条件づけ又はオペラント条件づけのいずれかに基づく行動療法A~Eのうち、古典的条件づけに基づくもののみを全て挙げているのはどれか。

A. 刺激統制法
望ましくない行動が起こりやすい刺激を除去し、あるいは、望ましい行動が起こりやすい刺激を提示することで行動の生起確率をコントロールする技法。

B. トークンエコノミー
望ましい反応が起こるたびにシールや代用貨幣などのトークンを与え、トークンが一定量に達したら、特定の物品と交換したり、特定の活動を許可したりするといった技法。これにより,望ましい反応の生起確率を高めることができる。

C. アラームシーツ
夜尿症の治療に用いる装置で、睡眠中に排尿してシーツが濡れるとアラーム音がして、子どもが覚醒するよう促す。このシーツを繰り返し使用することにより、膀胱圧が高まると目覚めることができるようになる。

D. 系統的脱感作法
不安や恐怖反応を引き起こしている状態に対して、それらと両立しない反応 (弛緩反応) を同時に引き起こす (脱感作) ことを繰り返し、不安や恐怖反応を段階的に消去する技法。不安や恐怖を引き起こす刺激をその程度によって並べたリストを作成した後、程度の低いものから順にイメージし、それに対して脱感作を行っていく。

E. バイオフィードバック
脳波や心拍などの生理学的指標を視覚・聴覚などの情報に変換してフィードバックすることで、生理活動の随意的コントロールを可能にする技法。多くの場合、生理学的指標は工学的な方法の助けを借りて視聴覚化され、フィードバックされる。

1. A B
2. A E
3. B D
4. C D
5. C E

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

古典的条件づけとは、中性刺激と無条件刺激を対提示することにより、中性刺激が条件刺激に変わり、新しい反射を引き起こすようになる手続あるいは現象のことです。オペラント条件づけは、自発的行動である「オペラント行動」に対し、報酬や罰を与え、行動頻度を変える一連の手続きです。レバーを押すと餌が出るスキナー箱が代表的実験装置です。

記述 A ですが
刺激統制法は、先行刺激をコントロールすることによる行動療法です。オペラント条件づけに基づきます。古典的条件づけに基づくものではありません。記述 A は誤りです。

記述 B ですが
トークンエコノミー法は、トークン(代理貨幣)と呼ばれる報酬を与え、報酬が一定の量にたまったら、より具体的な報酬を与える方法のことです。オペラント条件づけの応用です。古典的条件づけに基づくものではありません。記述 B は誤りです。

記述 C は妥当です。
アラームシーツは、アラームトレーニングやアラーム療法とも呼ばれます。

記述 D は妥当です。
系統的脱感作法についての記述です。

記述 E ですが
バイオフィードバックとは、心拍などの生理反応を、センサーなどで音や光に変換し、対象者に自覚させた上で、意識的にコントロールできるようにする技法です。オペラント条件づけに基づきます。記述 E は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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