公務員試験 H27年 国家一般職(行政) No.57解説

 問 題     

マス・コミュニケーションの機能や効果に関する用語についての次の記述のうち妥当なのはどれか。

1. 麻酔的逆機能とはマス・メディアの好意的な脚光を浴びる人物集団事件問題がマス・コミュニケーションの受け手によって社会的な意義や重要性に乏しく価値が低いものとみなされることをいう。

2. 皮下注射モデルとはマス・コミュニケーションがその受け手に対してあたかも注射器でメッセージを注入するように時間をかけて徐々に影響を与えることによって結果的に多様な考えに対する免疫をもたらすことをいう。

3. コミュニケーションの二段の流れとはマス・コミュニケーションの影響がマス・メディアから受け手の所属する第一次集団のオピニオン・リーダーに達し次いでそのオピニオン・リーダーを媒介としてフォロワーへと広がっていくという仮説である。

4. バンドワゴン効果とは楽隊による直接的な宣伝手法が大きな効力を発揮することから命名された概念であり選挙において選挙公報や政見放送など各種メディアを通したアピールよりも街頭や小規模集会での演説の方が効果的であることを指す。

5. アンダードッグ効果とは選挙時の事前のマス・メディアによる報道において優勢だと予測された候補者に対して人々が一層好意を寄せることによってその候補者の得票がさらに伸びていくことをいう。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
麻酔的逆機能とは、断片的な情報を大量・無差別に提供されることで刺激に麻痺し、情報提供するほどに政治的無関心に陥るという機能のことです。「受け手によって価値が低いとみなされる」ことではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
皮下注射モデルとは、マス・コミュニケーションによって情報が受けての心の中に侵入し、思想や態度を思いのままに変え、操作してしまうという考え方です。「結果的に多様な考えに対する免疫をもたらす」ことではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
ラザースフェルドらによるエリー調査によれば、人々はマスメディアから直接情報を受け取らず、所属地域のオピニオンリーダーを介したコミュニケーションの影響を強く受けます。「コミュニケーションの2段階の流れ仮説」と呼ばれます。

選択肢 4 ですが
バンドワゴン効果は、いわゆる「勝ち馬にのる」現象です。すなわち、事前に優勢とされた候補者に、有権者が投票しがちになる現象です。「各種メディアを通したアピールより、街頭等での演説が効果的」ということではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
アンダードッグ効果は、「A 候補が不利」とアナウンスされる結果、弱者応援の心理で A 候補の得票数が増加するという効果のことです。記述はバンドワゴン効果についてです。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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