公務員試験 H27年 国家一般職(行政) No.45解説

 問 題     

最近の米国の経済状況に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。

1. 世界経済危機に際して、米連邦準備制度理事会 (FRB) は、2007 年初めから、米国債の買取りによって資金の供給を行う、量的金融緩和策を継続的に実施したが、2013 年5月に当該政策を終了した。この大規模な量的緩和策によって約 8,000 億ドル弱が供給されたが、これは金融市場の動揺を抑える一定の効果があったと考えられる。

2. 実質 GDP について、米国が景気後退期入りした 2007 年第4四半期を 100 とした指数でみると、米国は主要先進国の中ではドイツと並んで景気回復が遅れ、景気後退前の水準まで回復したのは、2013 年第2四半期である。

3. 実質 GDP の需要項目について、米国が景気後退期入りした 2007 年第4四半期を 100 とした指数でみると、住宅投資が 2010 年第3四半期に景気後退前の水準を回復しその後も力強い上昇傾向を続けているが、個人消費や輸出は 2013 年第4四半期現在でも 100 に達していない。

4. 2010 年 ~ 2013 年の実質 GDP を産業別にみると、シェールガス・オイルによる効果等を背景として、鉱業の伸びが非常に大きくなっている。また、石油・ガス掘削業の雇用者数についても,同期間において大きな増加が見られた。

5. 対外直接投資額のフロー (国際収支ベース) をみると、2000 年代初めからほぼ一貫して増加を続けており、2010 年には過去最高の 5,000 億ドルに達した。直近の 2012 年について、その対象地域をみると、アジア大洋州とアフリカのシェアが合わせて7割近くを占めている一方、欧州のシェアは1割未満となっている。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
FRB の量的金融緩和が終了したのは、2014 年 10 月です。「2013 年 5 月」ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
米国は、リーマン・ショック(2008 年第 3 四半期)以降、4 四半期連続のマイナス成長の後、政府の大規模な景気対策やFRBの金融緩和策などもあり、2009 年第 3 四半期にはプラス成長に転じています。「景気回復が遅れ」という記述は妥当ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
個人消費が堅調に増加し続けており、100 を超えています。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
鉱業等についての記述です。

選択肢 5 ですが
米国の対外直接投資額は、ほぼ一貫して増加傾向です。過去最高の 5,000 億ドルに達したのは、2018 年です。また、地域別では欧州のシェアが大きいです。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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