公務員試験 H27年 国家一般職(行政) No.30解説

 問 題     

特別養子縁組に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。

1. 特別養子縁組は、原則として家庭裁判所の審判によって成立するが、一定の要件を満たせば、父母又は未成年後見人と養親となる者との合意のみによって成立する。

2. 特別養子縁組において養親となる者は、配偶者のある者でなければならない。

3. 特別養子縁組における養子の年齢は18歳未満とされており、18歳以上の者を養子とするには,家庭裁判所の許可を得なければならない。

4. 特別養子縁組により養子と養親及び養親の親族との間に法定血族関係が発生するが、原則として実方との親族関係も引き続き存続する。

5. 特別養子縁組については、家庭裁判所がその成立に厳格に関与することから、縁組の無効・取消しは制度上想定されておらず、離縁を認める規定も存在しない。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが
特別養子縁組は、養親となる者の請求により、家庭裁判所の審判によって成立します。「合意のみによる成立」はしません。ちなみに、原則として実父母の同意が必要です。

選択肢 2 は妥当です。
民法第 817 条の 3 第 1 項により、養親となるものは配偶者のある者でなければなりません。ちなみに、第 2 項により、夫婦共に養親となることが必要です。

選択肢 3 ですが
試験時点において、年齢の上限は 6 歳でした。法改正により年齢の上限が 6歳未満→15 歳未満となりました。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
特別養子縁組の制度は、実血族との関係を法律上断絶し、実血族からの子に対する権利主張を許さないことで、安定した家庭環境を実現することを図る制度です。「実方との親族関係も引き続き存続する」わけではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
養親による、養子の利益を著しく害する事由があり、かつ、実父母が相当の監護ができる場合に限り、特別養子縁組の離縁が、養子の利益のため特に必要があると認めるときに可能です。家庭裁判所が、養子、実父母、又は検察官の請求により行います。(民法第 817 条の 10)。「制度上想定されておらず、離縁を認める規定も存在しない」わけではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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