問 題
憲法第 13 条に関する ア~オ の記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。ただし、争いのあるものは判例の見解による。
ア. 幸福追求権は、人格的生存に必要不可欠な権利・自由を包摂する包括的な権利であり、個別的人権規定との関係では、個別的人権の保障が及ばない場合における補充的な保障機能を果たすものとされている。
イ. 速度違反車両の自動撮影を行う自動速度監視装置による運転者の容ぼうの写真撮影は、現に犯罪が行われている場合になされ、犯罪の性質、態様からいって緊急に証拠保全をする必要性があったとしても、その方法が一般的に許容される限度を超えるものであり、憲法第 13 条に違反する。
ウ. 個人の尊重の原理に基づく幸福追求権は、憲法に列挙されていない新しい人権の根拠となる一般的かつ包括的な権利であり、この幸福追求権によって根拠付けられる個々の権利は、裁判上の救済を受けることができる具体的権利である。
エ. 前科及び犯罪経歴は人の名誉、信用に直接に関わる事項であり、前科及び犯罪経歴のある者もこれをみだりに公開されないという法律上の保護に値する利益を有する。
オ. 刑事施設内において未決勾留により拘禁された者の喫煙を禁止することは、逃走又は罪証隠滅の防止という未決勾留の目的に照らし、必要かつ合理的な制限とはいえず、憲法第 13 条に違反する。
1. ア、オ
2. イ、オ
3. ア、ウ、エ
4. ア、ウ、オ
5. イ、ウ、エ
解 説
記述 ア は妥当です。
幸福追求権の補充的補償説です。
記述 イ ですが
まず、肖像権について代表的な判例が京都府学連事件です。この判例により、肖像権は憲法 13 条により保障されると述べられています。さらに、当然に公共の福祉による制約に服し、捜査における写真撮影は、1:現行犯ないし準現行犯状況の存在、2:証拠保全の必要性、緊急性、3:撮影方法の相当性 という要件のもとで許容される としています。
自動速度監視装置事件でもこの判例が引用され、いわゆるオービスによる容ぼうの写真撮影は違憲ではないとされています。記述 イ は誤りです。
記述 ウ は妥当です。
具体的権利肯定説の記述です。
記述 エ は妥当です。
前科照会事件の判例についての記述です。
記述 オ ですが
判例によれば、喫煙権が認められているとはいえず、喫煙の自由は、仮に権利としても制限されやすい性質であることを判示しています。未決勾留により拘禁された者の喫煙禁止について、違憲とされてはいません。記述 オ は誤りです。
以上より、正解は 3 です。
コメント