公務員試験 H27年 国家一般職(行政) No.1解説

 問 題     

国家と社会に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。

1. V.パレートは、大きな政治変動は支配的なエリート集団の交代によって生じるとする「エリートの周流」理論を提唱し、権力の座に就いたエリートが社会のどのような階級を代表しているかによって、政治が平等主義的なものとなるか独裁的なものとなるかが決まるとした。

2. G.ウォーラスは、個々の人間は、国旗や国歌、政党の名前や政治家の顔に基づいて、刺激に対する条件反射のように政治判断を下しているが、人々が集合的に行う意思決定においては誤謬が相殺されるため一定の妥当性が生まれるとして、大衆民主主義を肯定的に評価した。

3. G.エスピン=アンデルセンは、福祉国家について、脱商品化が進み階層性が低い社会民主主義モデル、脱商品化は進んでいるが階層性は高い保守主義モデル、脱商品化と階層性のいずれの程度も低い自由主義モデルという三つの類型への分類を行った。

4. A.レイプハルトは、宗教、言語、文化的な亀裂が存在し、各グループが自分たちの政党、利益集団、マスメディアを有するような多元社会においては、多数決型デモクラシーよりも合意型デモクラシーがふさわしいとし、その典型としてスイスやベルギーを挙げた。

5. C.シュミットは、民主主義の本質は同一性ではなく多様性にあるとした上で、「友と敵」の区別を基本とする政治においては統治者と被治者の民主主義的同一性は不可能であると論じ、英国を中心に影響力のあった多元的国家論に基づく民主主義理論を擁護した。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
エリートの周流とは、政治上のエリートには2タイプ(きつね型、ライオン型)いて、交互の支配が循環し、政治的安定を果たすという理論です。エリートが「社会のどのような階級を代表しているかによって」という話ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
G.ウォーラスは大衆の政治行動の非合理性を指摘しました。「集合的に行う意思決定においては誤謬が相殺・・・肯定的に評価」はしていません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
エスピン=アンデルセン福祉国家を3つの型に分類しました。1:社会民主主義レジーム、2:保守主義レジーム、3:自由主義レジーム です。これは脱商品化、社会的階層化という2つの指標を用いた分類です。自由主義レジームは、脱商品化の程度が低く、階層性が高いという型です。共に低いわけではありません。ちなみに、共に低い型は想定されていません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
レイプハルトは民主主義を「多数決型」と「合意形成型」に類型化しました。

選択肢 5 ですが
C.シュミットは、議会制民主主義を批判し、独裁の理論について論じました。「多元的国家論に基づく民主主義理論を擁護した」わけではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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