公務員試験 H26年 国家専門職(食品衛生監視員) No.4毒性学Ⅱ(2)解説

 問 題     

汚染物質に関する次の記述のA~Hに当てはまるものを語群から選び出しそれぞれの番号を記せ。

「イタイイタイ病の原因物質であるAは腎において特にBを障害しカルシウムやCの再吸収を阻害することにより骨軟化症を惹起する。

水俣病の原因物質であるDは血液-脳関門の透過性が高くEとして知られる知覚障害運動失調等を来たす。一般にマグロ類にはDが高濃度に含まれるが,マグロ類に含まれるFがDによる毒性を G させていると考えられている。

カネミ油症事件の原因物質であるHは化学的に安定で脂溶性が高い。」

<語群>①増大、②減弱、③ナトリウム、④鉛、⑤メチル水銀、⑥リン、⑦マグネシウム、⑧カドミウム、⑨セレン、⑩ヨウ素、⑪ヒ素、⑫ポリ塩化ビフェニル(PCB)、⑬腎盂、⑭糸球体、⑮近位尿細管、⑯ギラン・バレー症候群、⑰ハンター・ラッセル症候群、⑱トゥレット症候群

 

 

 

 

 

 解 説     

1955年富山神通川流域で報告された 4大公害事件の1つがイタイイタイ病です。イタイイタイ病の原因物質は 「Cd(カドミウム)」 です。腎臓の「近位尿細管」障害を生じ、カルシウムや「リン」の再吸収が阻害されます。次いで骨軟化症をきたします。

同じく4大公害事件の1つが、1956年熊本で報告された水俣病です。原因は「有機水銀」です。「ハンターラッセル症候群」として知られる、種々の神経症状が見られます。有機水銀についてはマグロ類などにある程度含まれるのですが、「セレン」が毒性を減弱させていると考えられています。

カネミ油症事件1968年「PCB」等が混入した食用油摂取による食中毒事件です。発症の原因としてはむしろダイオキシン類の関与が大きいとされています。

以上より
A カドミウム ⑧
B 近位尿細管 ⑮
C リン⑥
D メチル水銀 ⑤
E ハンターラッセル症候群 ⑰
F セレン ⑨
G 減弱 ②
H PCB ⑫ です。

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