問 題
植物病理学の歴史に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1. 1840年代アイルランドにおいて、コムギ飢饉が起こり餓死などによりアイルランドの人口が3分の1以上減少した。ドイツのコッホがこの飢饉を引き起こした病気はかびの一種が原因であることをつきとめこの菌(コムギ赤さび病菌)の学名をPuccinia recondita とした。
2. 炭疽病の原因微生物を発見したスタンレーは病原体であることの証明に用いた四つの条件を原則としてまとめた。これは動植物の伝染病を引き起こす病原体の証明指針となったが細菌による病原体に限られ菌類(糸状菌)には適用できない。
3. 19世紀末高田鑑三はイネ萎縮ウイルスが宿主である害虫の卵を通じて次世代に伝わる経卵伝染であることを世界で初めて発見した。また1930年頃福士貞吉はイネ萎縮病が虫媒伝染であることを世界で初めて証明した。
4. 土居養二らによりそれまでウイルス病とされてきたクワ萎縮病の病原体としてマイコプラズマ様微生物(現在のファイトプラズマ)が世界で初めて発見された。この発見に続いて世界各地の萎黄叢生病よりファイトプラズマが確認された。
5. 米国のディーナーはジャガイモ疫病の病原体として約360塩基のDNA を発見した。これは現在までに発見されている最小の植物病原体であるウイロイドである。ウイロイドはイモなど根菜類での発生が多く果菜類や果樹での発生は少ない。
解 説
選択肢 1 ですが
1840 年代、アイルランドの飢饉は「ジャガイモ飢饉」です。コムギ飢饉ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
炭疽病の原因発見は、コッホです。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
高田鑑三は、イネ萎縮(いしゅく)病がヨコバイによって伝染することを発見、植物ウイルスの虫による媒介を世界で初めて報告した人です。また、福士貞吉は、イネ萎縮病ウイルスがヨコバイで経卵伝染することを証明しました。細かい記述の違いですが、主語が逆です。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は、妥当な記述です。
選択肢 5 ですが
ウイロイドは、環状、タンパク質の殻を持たない一本鎖RNAです。DNAではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。 ウイロイド→ディーナーはOK。ウルフ賞←この賞すごい歴史あるもの。
以上より、正解は 4 です。
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