公務員試験 H26年 国家一般職(化学) No.28解説

 問 題     

図はある化合物の 1H NMR スペクトルである。この化合物の構造式として最も妥当
なのはどれか。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

ピークが大きく分けて 4 つある点から、4種類の H が存在することがわかります。また、一番左のピークが 4 本 に分裂していることからこのピークが表す H の、隣の炭素には H が 3 つ あることがわかります。残りのピークは 3 本に分裂しているからそれらのピークが表す H の、隣の炭素には H が 2 つあることがわかります。以上の情報から、選択肢を検討します。
 
選択肢 5 ですが
左端のメチル基の H は、隣の C に H がないため、ピークが分裂しません。しかし本問のピークは全て分裂しており、明らかに誤りです。
 
選択肢 2,3 ですが
2 の左端、及び、3 の右端のメチル基に注目します。すると、隣の C には、H が 1 つしかありません。よって、メチル基の H のピークは 2 本に分裂します。しかし、本問のピークに、2本に分裂しているものはありません。従って、これらの構造は誤りです。
 
残りは、選択肢 1 と 4 です。
これらの構造は、ピークの分裂本数に矛盾がありません。そこで、特徴的な「4本のピークに分裂する水素」がより左側(4ppm 付近)に出る構造かどうかで判断します。

選択肢 1 において4本のピークに分裂する H は O と直接結合している CH2 です。(右隣の C に、H が 3 つついているため、4本のピークに分裂するとわかります。)Oと結合しているためピークが左側に出ても矛盾ありません。

一方、選択肢 4 において、4本のピークに分裂する H は C と結合している CH2 です。(左隣の C に、H が 3 つついているため、4本のピークに分裂するとわかります。)これは、ピークが 4ppm 付近に出るとは考えられません。
 
以上より、正解は 1 です。

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