公務員試験 H26年 国家一般職(教養) No.39解説

 問 題     

国民所得や景気変動に関する記述として最も妥当なのはどれか。

  1. GNP(国民総生産)はGDP(国内総生産)より海外からの純所得(海外から送金される所得-海外へ送金される所得)を控除することで得られる。GNP とGDP を比較すると GNP はGDP より必ず小さくなる。
  2. 名目 GDP の増加率である名目成長率から物価上昇率を差し引くと実質 GDP の増加率である実質成長率が求められる。また我が国の場合第二次世界大戦後から2013年までに消費者物価上昇率(前年比)が7.5% を上回ったことはない。
  3. NI(国民所得)は生産支出分配の三つの流れから捉えることが可能である。また生産国民所得から支出国民所得を差し引いた大きさと分配国民所得の大きさが等しいという関係が成り立つ。
  4. 景気が好況時に継続的に物価が上昇することをスタグフレーションという。我が国の場合デフレーションと不況が悪循環となるデフレスパイラルの現象が見られたことはあるがスタグフレーションの現象が第二次世界大戦後から2013年までに見られたことはない。
  5. 景気の波のうち在庫調整に伴って生じる周期3年から4年ほどの短期の波をキチンの波という。一方大きな技術革新などによって生じる周期50年前後の長期の波をコンドラチェフの波という。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが、海外にみんな出稼ぎに行ってて、国への送金が多かったりすると、GNP の方が大きくなることがありえます。よって「必ず」ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが、第一文の実質成長率の説明は OK です。しかし、オイルショック時に消費者物価指数はどーんと跳ね上がっていて、7.5% を上回っています。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが「生産、支出、分配の三つの流れから捉える」といえば「三面等価の原則」です。この原則から考えれば、生産国民所得と支出国民所得は等しいため、差し引けば0です。また、生産国民所得、支出国民所得、分配国民所得 全ての大きさが等しい という関係が成立します。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが「継続的物価上昇」は「インフレーション」です。「スタグフレーション」とは、雇用や賃金が減少する中、物価が上昇する現象です。第 1 次オイルショックなどが代表例です。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は、正しい記述です。「在庫調整との関連→キチンの波」、「技術革新との関連→コンドラチェフの波」という点を意識して覚えておくとよいです。ちなみに 10 年前後の波が「設備との関連→ジュグラーの波」、20 年前後の波が「建築物との関連→クズネッツの波」です。

以上より、正解は 5 です。

コメント