問 題
国際法に関する記述として最も妥当なのはどれか。なお条約名は略称とする。
- 国際法を最初に体系的に論じたのは国際法の父といわれるカントである。彼は『戦争と平和の法』において平時には自然法の立場から国際社会にも諸国家が従うべき法があるが戦時には国際法の適用が停止されざるを得なくなるとして法によらず戦争に訴える国家を厳しく批判した。
- 領土・領海に限られていた国家の主権は航空機の発達によって領空にまで及んだが人類の活動領域が宇宙空間にも及ぶに至り1966年に採択された宇宙条約では月その他の天体を含む宇宙空間は全ての国が国際法に従って自由に探査・利用できるとされた。
- 海洋については1982年に採択された国連海洋法条約により公海排他的経済水域領海の三つに分けられることになった。このうち領海とは基線から3海里以内で沿岸国が設定し得る水域であり領海内では沿岸国の同意を得ない外国船舶の航行は禁止される。
- 大陸棚については1958年に採択された大陸棚条約において大陸棚の資源は人類の共同の財産でありそのいかなる部分についても主権を主張したり主権的権利を行使したりしてはならないとされ国際機関が大陸棚の資源開発を管理することとなった。
- 国際紛争を裁判で解決するための機関として18世紀に創設された仲裁裁判所では当事国が合意した場合に限り裁判が行われるとされ紛争解決事例は少なかったが国際連合に設置された国際司法裁判所は強制的管轄権を付与され当事国の合意がなくとも裁判を行うことが可能になった。
正解 (2)
解 説
選択肢 1 ですが「国際法の父」といえば、フーゴー・グロティウスです。早熟の天才で、14歳で大卒、捕まった後、脱獄とかしてます。カントではありません。
選択肢 2 は、妥当な記述です。
選択肢 3 ですが、領海とは「最大 12 海里以内」です。「3海里以内」ではありません。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが、大陸棚とは、大陸周縁の緩傾斜海底のことです。沿岸国が天然資源の探査・開発のための主権的権利を有します。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが、国際司法裁判所には、強制的管轄権が原則ありません。当事者国間の合意により紛争が付託される手続きが必要です。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2 です。
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