公務員試験 H26年 国家一般職(教養) No.36解説

 問 題     

世界の工業に関する記述A~Dのうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。

A:繊維工業のうち綿花を原料とする綿工業は生産コストの中で原料費の比重が大きく原料の輸送費の節約のため輸入港や高速道路空港付近に工場を立地する交通指向型の工業に分類される。第二次世界大戦以前は英国や我が国が主な生産国であったが近年では安価な労働力が得られる中国とブラジルが二大生産国となっている。

B:鉄鋼業では18世紀に木炭ではなく石炭を燃料とする製鉄法が確立して以降英国のミッドランド地方やドイツのルール地方のような炭田地域に製鉄所が建設された。第二次世界大戦以降は技術革新や輸送費の低下などによって炭田に立地する必要性が低下しフランスのダンケルクのような臨海部に製鉄所が建設された。

C:自動車工業は総合的な組立工業で大資本や多くの労働力を必要とする。国際化の進展が著しい工業部門の一つであり欧米や日本の自動車会社は1970年代から外国での生産拠点作りに取り組み主要な企業の多くが世界の各地に工場を展開させている。近年は国際的な競争が一層激しくなり2013年には米国の自動車工業都市であるデトロイトが財政破綻に陥った。

D:集積回路やパソコンの生産に代表されるエレクトロニクス工業は高度な加工技術が必要であること等から米国のシリコンバレーのように先進国の一地域に集中している。そのため現在も米国等の先進国によって世界シェアが占められており例えば2010年における集積回路の輸出額を見ると米国だけで世界の輸出額の50% を超えている。

  1. A B
  2. A D
  3. B C
  4. B D
  5. C D

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

記述 A ですが「交通指向型」の工業としては、造船業石油化学工業が代表例です。繊維産業は、原料の綿花から糸を紡ぎ、更に布を織る「労働集約型工業」の代表例です。よって、記述 A は誤りです。

記述 B,C は、妥当な記述です。

記述 D ですが、集積回路の輸出はアジアが多く、又、世界中から輸出されています。一地域集中ではありません。よって、記述は明らかに誤りです。

以上より、妥当な記述は B,C です。正解は 3 です。

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