公務員試験 H26年 法務省専門職員 No.53解説

 問 題     

世帯・家族・結婚に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. 世帯とは、住居と家計を共にする人々の集団であり、具体的には家族のことを指す。厚生労働省の「国民生活基礎調査」によれば、1989 (平成元) 年と比べて 2010 (平成22) 年では総世帯数は減少しているが、単独世帯及び三世代世帯の数はともに増加している。

2. 家族員の続柄組合せを基準とする家族分類の代表例として、夫婦家族、直系家族、複合家族の三分類がある。夫婦とその息子の妻子からなる家族は、これらのうち夫婦家族に分類される。

3. W. F. オグバーンは、産業化以前の家族は愛情機能のみを有していたが、産業革命後はこれに加えて経済・地位付与・教育・保護・宗教・娯楽といった機能を家族が果たすようになったとして、家族の機能拡大説を唱えた。

4. G. P. マードックは、家族の機能として性的機能、生殖的機能、教育的機能、経済的機能の四つを挙げた。そしてこれらの機能は拡大家族においては全てが有効に機能するが核家族においてはこれらのうち一部しか機能しないとした。

5.『平成25年版厚生労働白書』によれば、日本人の平均初婚年齢は 1980 (昭和55) 年と比べて2012(平成24)年では夫妻ともに上昇している。また生涯未婚率* は、1980 年と比べて 2010 (平成22) 年では男女ともに上昇している。

(注)* 50歳時点で一度も結婚したことのない人の割合。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
単身世帯が増加傾向なので、世帯数も増加傾向です。「1989 年に比べ 2010 年の方が減少している」という記述に違和感を覚えるのではないでしょうか。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
「夫婦+息子妻子」は、直系家族です。夫婦家族ではありません。夫婦家族とは「夫婦とその未婚の子女」、「夫婦のみ」、「父親または母親とその未婚の子女」のいずれかからなる家族と定義されます。単身者を加える説もあります。核家族とも呼ばれます。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
W.F. オグバーンが唱えたのは、家族の「機能縮小」論です。拡大説ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
マードック核家族固有の機能として、性的、生殖的、教育的、経済的機能を指摘しました。「核家族において・・・一部しか機能しない」わけではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 3,4 と関連づけて、家族の機能については、パーソンズの二機能説(子供の社会化と成人の安定化機能)も覚えておくとよいです。

選択肢 5 は妥当な記述です。
判断しやすい選択肢ではないでしょうか。

以上より、正解は 5 です。

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