公務員試験 H26年 法務省専門職員 No.43解説

 問 題     

権利擁護や権利保障等に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. 職場でのいじめ・嫌がらせ、いわゆるパワーハラスメントが近年、社会問題として顕在化していることから、2012 (平成24) 年に労働基準法が改正され、パワーハラスメントの防止に関する規定が盛り込まれた。

2. 配偶者暴力防止法* は、配偶者からの暴力に係る通報、相談、保護、自立支援等の体制を整備し、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るために制定されたものであり、法の適用対象としては、法律上の婚姻関係にある者からの暴力及びその被害者に限られる。

3. 児童の権利に関する条約は、児童の保護と基本的人権の尊重を促進することを目的としている。我が国においては、2013 (平成25) 年に同条約の締結が国会で承認され、実施法案が成立し、締結国となった。

4. 生活保護法において、被保護者は、いかなる理由があっても既に決定された保護を不利益に変更されることがないとされており、保護の決定及び実施に関する処分について、審査請求をすることができないとされている。

5. 成年後見制度は、大きく分けると、法定後見制度と任意後見制度の二つがある。また、法定後見制度は「後見」、「保佐」、「補助」の三つに分かれており、判断能力の程度など本人の事情に応じた制度を利用できるようになっている。

(注)* 正式には「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
2012 年に労働基準法は改正されていません。話題として 2012 年の「労働者派遣法改正」があり、有期労働契約が5年を超えて反復更新されている際、無期労働契約に変更する仕組みが導入されました。この話題との混同などを狙った記述と思われます。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
通称 DV 防止法についてです。この法における「配偶者」は、法の趣旨に乗っ取り、婚姻の届出をしていないいわゆる「事実婚」を含みます。男性、女性の別を問いません。また、離婚後引き続き暴力を受ける場合を含みます。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
児童の権利に関する条約日本は 1990 年に署名し、1994 年に批准しています。2013 年に締結国となったわけではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
生活保護法 56 条によれば被保護者は、正当な理由がなければ、既に決定された保護を、不利益に変更されることがない です。「いかなる理由があっても・・・できない」わけではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当な記述です。
成年後見制度についてです。

以上より、正解は 5 です。

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