公務員試験 H26年 法務省専門職員 No.26解説

 問 題     

次は認知療法を提唱したベック(Beck, A. T.)の認知モデルを図式化したものである。事例に示される認知A~Dのうち図中の「スキーマ」に当てはまるものとして妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

<事例>
モリーは学生食堂で友人のリサ、エイミーと三人並んで昼食を食べている。いつもは仲良く三人で話しながら食べるのに、真ん中にいるエイミーは今日に限って右隣のリサにばかり話し掛けている。二人は左端にいるモリーの方を見向きもせずに会話に夢中になっており、モリーは会話に入れない。

もともと控えめで会話に割って入るタイプではないモリーは、二人の会話を黙ったまま聞いている。モリーの頭には「会話に入れない」や「私は嫌われてしまった」(認知A) という考えが浮かび気落ちしてしまった。その後も気落ちして黙ったままのモリーに「どうしたの?」とリサが話しかけるが、モリーは「ええと・・・」と曖昧な言葉を返すだけで、うまく自分の気持ちを伝えられない。

するとリサが「モリーはあんまり自分の思っていることを言わないけれどそういうのよくないと
思うよ」と言い、モリーはますます「やはり私は嫌われてしまった」(認知B) という考えを強めて,気分の落ち込みがひどくなる。

家に帰ってからも繰り返しそのことばかり考えて「きっと卒業まで友達もなく一人で過ごすことになるのだろう」(認知C) と不安が広がっていく。よく考えると、モリーにとってこのような気持ちになるのは初めてではなく「私は人に好かれない」(認知D) という漠然とした思いを小さい頃からいつも抱いていた。

1. A
2. C
3. D
4. A B
5. C D

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

認知 A が自動思考である、という点がまず判断しやすいのではないでしょうか。

モリーにおきた出来事は「エイミーが私に見向きもせず、リサとの会話に夢中になっている」という出来事です。それを受けて、解釈は色々ありえるのですが、モリーは何らかの自分のスキーマを通して「嫌われてしまった」と考えています。認知 A は「自動思考」です。スキーマではありません。認知 A は誤りなので、正解は 2 or 3 or 5 です。

そして、認知 C が判断しやすいと思われます。帰宅し、繰返し考えているのは、食堂での出来事です。出来事を、やはり何らかの自分のスキーマを通して解釈し「卒業まで友達もなく、一人で過ごすだろう」と考えています。認知 C も「自動思考」です。認知 C は誤りなので、正解は 3 です。

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