公務員試験 H26年 法務省専門職員 No.25解説

 問 題     

次は、母親から寄せられた育児相談の事例及び相談内容の解釈に関する記述であるが、A B Cに当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

[母親からの育児相談]
「1歳2か月の女の子ですが、保育園に預けるときに泣いて後追いするのも、お迎えのときには抱きつきながら私をたたいたりするのも気になります。家でもしつこくまとわりついたり、反抗的
だったりと困っています。このままでは、子どもが嫌いになってしまいそうです。」

[相談内容の解釈]
人間(動物)が特定の個体に対してもつ情愛的結び付きを A という。A が良好であれば子どもは情緒的に安定して物事に取り組むことができることから A は子どもの発達を支える重要な要因と考えられている。

エインズワース (Ainsworth, M. D. S.) によると、1歳児頃の A にはいくつかの類型がある。母親と別れるときに苦痛を示さない群は B で、母親が拒否的・強制的であるために再会時にも身体的接触を求めようとしないとされる。母親との分離に苦痛を示す群のうち、母親とスムーズな再会ができる群を安定型、できない群は C とされており、相談事例の場合はこの C と考えられる。

安定型では、母親が日常生活において子どもの発する信号に応答的であるため、呼べば母親がすぐに来てくれるという期待が子どもの方にできており、情緒的に安定している。これに対して C では、母親は B ほど拒否的ではないが、安定型ほど応答的でもない。子どもが母親に期待しても、母親の応答性が乏しかったり、タイミングが悪かったりして失望してしまうのでフラストレーションが蓄積する結果、相談事例のような行動が出現すると考えられる。

A B C
1. インボルブメント アンビバレント型 無秩序型
2. インボルブメント 回避型 アンビバレント型
3. アタッチメント アンビバレント型 無秩序型
4. アタッチメント 無秩序型 回避型
5. アタッチメント 回避型 アンビバレント型

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

A ですが
人間(動物)が特定の固体に対してもつ情愛的結びつきは「アタッチメント(愛着)」です。

B,C ですが
エインズワースストレンジ・シチュエーション法という、親子の分離と再会を繰り返し、アタッチメントの個人差を測定する手法を考えました。結果は4タイプに分類されます。安定型、回避型、アンビバレント型、無秩序・無方向型です。

回避型は、親を避けるような行動をとります。また、分離された時の探索行動があまり活発でないという特徴が見られます。「母親と別れる時、苦痛を示さない」群は「回避型」と考えられます。B は回避型です。

アンビバレント型は、分離時に強い不安を示し、戻った時に身体接触を求める一方、激しい怒りをみせるといった特徴があります。C は「アンビバレント型」と考えられます。

以上より、正解は 5 です。

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