問 題
カリキュラムの類型についての記述A~Dとその類型の名称の組合せとして最も妥当なのはどれか。
A. 学習者が生活現実の中から生じる自らの課題あるいは興味・関心のある事柄を中心課程として設定しそこから派生して必要とされる知識や技術を周辺課程に位置付けたカリキュラムである。1930年代ヴァージニア州教育委員会が小学校の学習指導要領として発表したヴァージニア・プランが有名である。
B. 一切の教科の存在を認めず児童・生徒の興味と目的をもった活動から総合的な単元で全体が組織される。教科の壁は消滅し学校教育は子どもの生活そのものと一致する。W.H.キルパトリックが提唱したプロジェクト・メソッドの概念はこのカリキュラムを展開する方法的原理である。
C. 教科・科目の区分を保持しながら教科・科目間の内容や取扱い方の関連を図り教科・科目間の関係を密接にしようとしたカリキュラムである。一つの教科・科目の学習と密接な関係にある他の教科・科目に関係をもたせて学習させることによってその相乗効果を得られるよう構成されている。
D. 一部の教科・科目などを再編成してその壁を取り払い一つの新しい教科・科目や領域を生み出そうとしたものである。例えば歴史地理政治などの諸教科の壁を取り払い社会科としたり地学生物化学物理などの諸教科の壁を取り払い理科としたりするといった例がある。
解 説
記述 A ですが
「中心課程」、「そこから派生して必要とされる知識や技術を周辺課程に位置付けた」という部分から、コア・カリキュラムが妥当です。学問中心カリキュラムは、「発見学習」を提唱し,後に『教育の過程』という本にまとめたブルーナーによって提唱されました。単純に教科中心でもなく、完全に経験中心でもないカリキュラムです。
記述 B ですが
「一切の教科の存在を認めず」、「児童・生徒の興味と目的をもった活動から」といった部分から「経験中心カリキュラム」が妥当です。らせん型カリキュラムは、学習者の理解レベルに合わせた形で繰り返し学習させていくカリキュラムです。ブルーナーにより提唱されました。
記述 C,D ですが
教科→相関→融合の順で、科目間の壁が取り払われていきます。更に広いものが広領域カリキュラムとなります。記述 C の「教科・科目の区分を保持しながら・・・関連を図り」、記述 D の「教科・科目などを再編成して」という部分から、記述 D の方が科目間の壁が取り払われています。また、D は「一部の教科・科目などを再編成」という範囲であるため、「広領域カリキュラム」は妥当ではありません。従って、記述 C が相関カリキュラム、記述 D が融合カリキュラムです。
以上より、正解は 1 です。
コメント