公務員試験 H26年 国家一般職(行政) No.43解説

 問 題     

我が国の経済事情に関する次の記述のうち妥当なのはどれか。

1. 実質 GDP 成長率 (季節調整済前期比年率換算) をみると、2012 年 4-6 月期、7-9 月期にマイナス成長となったのちに回復し、2013 年 4-6 月期現在はプラス成長となっている。需要項目別の寄与をみると、2013 年前半は個人消費が成長に大きく寄与した。

2. 設備投資を 2008 年 7-9 月期を 100 とした指数でみると、2013 年 1-3 月期には 110 近くとなり、製造業、非製造業ともに、リーマンショック前の水準を回復した。これは、企業収益の改善から、特に中小企業のキャッシュフローが2011年から2013年にかけて急増したことによる。

3. 住宅着工戸数 (年率換算、季節調整値) をみると、リーマンショックの影響は比較的小さく、リーマンショック後の底となった 2009 年 7-9 月期は、リーマンショック前の 2008 年 4-6 月期の水準の9割程度であった。その後、各種の住宅取得支援施策の効果もあり、2012 年 10-12 月期には 2008 年 4-6 月期の水準の 1.2 倍程度に達した。

4. 輸出額を 2008 年 7-9 月期を 100 とした指数でみると、リーマンショックの影響で 2008 年 10-12 月期から約1年間にわたって減少したものの、2009 年 10-12 月期には 80 程度となり底を打った後回復し、2012 年 10-12 月期には 110 を上回った。この数値は、米国、英国などを上回っている。

5. 実質 GNI (実質 GDP + 海外からの所得の純受取(実質) + 交易利得) の成長率 (前期比、年率換算) をみると、2013 年 1-3 月期、4-6 月期に大きくマイナス成長となった。これは 2012 年秋以降、円安方向へと動く中で、海外からの所得の純受取 (実質) が大きくマイナスに寄与したことによる。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
GDP 成長率についての記述です。

選択肢 2 ですが
2013 年 1ー3 月期は 90 近くです。景気は持ち直しに転じつつあると評価されていますが、設備投資はリーマンショック前の水準に回復していません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
住宅着工戸数はリーマンショックの影響を大きく受けました。「比較的小さく」はありません。また、2012 年 10 – 12 月期において、リーマンショック前の水準に回復していません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
底堅い個人消費と弱い輸出が、リーマンショック後の日本の特徴です。「米国、英国などを上回っている」わけではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
GNI に関して、交易損失のマイナスが大きく寄与しました。「海外からの所得の純受取」が大きくマイナスに寄与したわけではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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