公務員試験 H26年 国家一般職(行政) No.34解説

 問 題     

ある財に対する社会の需要曲線は、d = 120- 2p で表されるものとする(d:需要量,p:価格)。この財を1単位追加的に生産するための限界費用は 35 で一定であり、完全競争市場の下で供給されているとする。

ただし、この財を1単位追加的に生産するに当たっては、大気汚染が生じるため、社会的コストが7だけかかるとする。このとき、市場の自由な取引に委ねた場合の総余剰はいくらか。

1. 250
2. 275
3. 300
4. 325
5. 350

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

需要曲線 d = 120 ー 2p を、p についてときます。p = -d/2 + 60・・・ (1) です。限界費用が 35 というのは、MC = 35・・・(2) で表すことができます。(1),(2) をグラフにすると、以下のようになります。

「完全競争市場」において、利潤最大化条件は「価格=限界費用」です。従って、価格 p = 35 です。この時、d = 50 となります。この時、消費者余剰は、下図における色付きの三角形の部分です。面積は 25 × 50 ÷ 2 = 625 です。

消費者余剰のイメージは「最悪 p = ◯ まで出すけど、実際にはもっと安いので感じる、お得感を表す量」です。本問では、d = 0 の時でも p = 60 です。つまり「消費者的には、この商品を買うために最悪 p = 60 までは許容できる」といえます。実際の売買価格が p = 35 なのでお得感ありです。お得分を示す面積が下図における三角形というイメージになります。

この時、生産者側に注目すると、限界費用で生産しています。この時は生産者余剰は0となります。総余剰=生産者余剰+消費者余剰です。これだけであれば、総余剰は 625 です。

本問では「この財を1単位追加的に生産するに当たり、社会的コストが7かかる」とあります。従って、社会的限界費用(SMC) = 35+7 = 42 となります。SMC = 42 をグラフに重ね合わせてみます。この時、1個売るたびに7コストが余計にかかっているため、下図の長方形部分が余計なコストです。

従って、総余剰は 625ー350 = 275 です。

以上より、正解は 2 です。

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