公務員試験 H26年 国家一般職(行政) No.33解説

 問 題     

図は、ある売り手独占市場における市場需要曲線、限界収入曲線、限界費用曲線、平均費用曲線を描いたものである。このとき、市場の均衡に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。ただし、x を数量、p を価格としたとき、市場需要曲線が x = 20- 2p、限界収入 (MR) が MR = 10-x、限界費用 (MC) が MC = 2、平均費用 (AC) が AC = 2+24/x と表されている。

1. 売り手独占者が価格支配力を行使したときの均衡における価格は8、数量は4である。

2. 売り手独占者が価格支配力を行使したときの均衡における利潤は8である。

3. 売り手独占者に対して、政府が独立採算(利潤も赤字もない状態)を義務付けたときの均衡における価格は2、数量は16である。

4. 売り手独占者が価格支配力を行使せず、限界費用価格形成原理によって決定したときの均衡における価格は2、数量は8である。

5. 売り手独占者が価格支配力を行使せず、限界費用価格形成原理によって決定したときの均衡における利潤は12である。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

「価格支配力がある」=「需要曲線を知っている」ということです。つまり、価格いくらであれば、何個売れるかを知っています。そうであれば『価格×個数ー費用』を最大化しようとします。価格×個数は「売上」です。「売上ー費用」で「利潤」です。

価格 = p、個数 = x なので、売上=価格×個数 = px です。費用は、平均費用が 2 + 24/x で、作った個数が x なので、(2 + 24/x) × x = 2x + 24 です。 最大化したい利潤は、二変数関数 f(p,x) = px ー (2x + 24) です。市場需要曲線より x = 20 – 2p なので、これを代入します。f(p) = p(20 – 2p) – (2(20 – 2p) + 24) = -2p2 +24p -64 です。f’(p) = -4p + 24 なので、p = 6 の時、f’(p) = 0 で、最大値をとります。

p = 6 であれば、x = 20 – 2p より、x = 8 です。この時、売上が 6 × 8 = 48 です。平均費用が 2 + 24/8 = 5 です。個数 8 個なので、費用は 5 × 8 = 40 です。48 – 40 = 8 が利潤です。

以上より、正解は 2 です。

ちなみに、選択肢 3 について
独立採算(利潤も赤字もない状態)を義務付けたときとは、 利潤 = 0 の時です。すなわち、f(p) = -2p2 + 24p – 64 = 0 を満たす場合です。解くと p = 4 or 8 です。従って、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4,5 ですが
「限界費用価格形成理論」とは、限界費用=価格 ということです。p = 2 であれば、x = 16 です。そして、この場合、利潤はなく、赤字です。選択肢 4,5 は誤りです。

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