問 題
根抵当権に関するア~オの記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。
ア. 根抵当権は、根抵当権者と根抵当権設定者との合意により設定することができるが、この根抵当権については、一定の範囲に属する不特定の債権を担保するものであることから、必ずしも極度額を定める必要はない。
イ. 根抵当権の元本の確定前においては、その根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができるが、元本の確定前にその変更について登記をしなかったときは、変更をしなかったものとみなされる。
ウ. 根抵当権の極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができない。
エ. 根抵当権の元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得たときであっても、その根抵当権を譲渡することはできない。
オ. 根抵当権の元本の確定後において、債務者が元本の確定時に存在した被担保債権の全額を弁済すれば、その根抵当権は消滅する。
1. ア、エ
2. ア、オ
3. イ、エ
4. イ、ウ、オ
5. ウ、エ、オ
解 説
通常の抵当権は、特定債権を担保するために設定されます。土地所有者 A さんが 1000 万円借りたくて、B さんが 1000 万円貸した時、といった場合です。この債権が消滅すると抵当権も消滅します。これを付従性といいます。
ところが、これだと困るのが、銀行と取引先や、メーカーと商社といったちょこちょこ色んな債権債務のやり取りが行われるケースです。いちいち売れたら抵当権消滅、また設定とやっていたらめんどくさいので「一定範囲の不特定債権を、極度額の限度で担保するような抵当権設定」が取引上重要となります。このような抵当権を「根(ね)抵当権」といいます。債権債務がある程度変動する中での担保なので、抵当権と異なり、債権との付従性を有しません。
記述 ア ですが
根抵当権では極度額必須です。記述 ア は誤りです。
記述 イ は妥当です。
民法 第 398 条の四、第 3 項です。
記述 ウ は妥当です。
民法 第 398 条の五です。
記述 エ ですが
元本の確定前において、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、根抵当権を譲り渡すことができます。民法 第 398 条の十二です。記述 エ は誤りです。
記述 オ は妥当です。
元本確定→被担保債権全額弁済→根抵当権消滅 という流れです。
以上より、正解は 4 です。
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