公務員試験 H26年 国家一般職(行政) No.6解説

 問 題     

我が国の公務員制度に関する次の記述のうち妥当なのはどれか。

1. 明治憲法下においては国の事務に携わる者は官吏とそれ以外の非官吏とに区別されており官吏は天皇の任官大権に基づいて天皇の官吏として任命され特別の義務を課せられると同時に厚い身分保障や恩給の支給などの特権を与えられていた。これに対し親任官勅任官奏任官などの非官吏は天皇の任官大権に基づいて任命されるが官吏と同様の特権は与えられていなかった。

2. 第二次世界大戦後天皇主権から国民主権への転換を踏まえ昭和 22 年に制定された国家公務員法においては従来の官吏制に代わる新しい公務員制の根本基準が定められるとともにこれまでの無試験採用を改め我が国において初めて公開競争による採用試験制が導入された。これによって我が国の公務員の任用の仕方はスポイルズ・システムからメリット・システムに転換された。

3. 平成 19 年の国家公務員法改正により国家公務員の再就職に関する規制として各府省等職員が職員又は職員であった者について営利企業等に対して離職後の就職のあっせんを行うことを禁止すること職員が自らの職務と利害関係を有する一定の営利企業等に対して求職活動を行うことを規制すること等が規定された。また職員の離職に際しての離職後の就職の援助を行うとともに官民の人材交流の円滑な実施のための支援を行うため内閣府に官民人材交流センターを設置することが規定された。

4. 平成 20 年に国家公務員制度改革基本法が成立し内閣による人事管理機能を強化し弾力的な人事管理を行えるよう内閣官房に内閣人事局が設置された。これを受けて平成 21 年に幹部職員人事を各府省から切り離して内閣による一元管理を行うこと等を内容とする国家公務員法等の一部を改正する法律案が国会に提出され同年に成立した。

5. 平成 25 年度以降公的年金の支給開始年齢が段階的に引き上げられることに伴い国家公務員について 60 歳定年後に無収入期間が発生するため雇用と年金の接続が課題となった。このため平成 25 年3月に定年退職する職員が公的年金の支給開始年齢に達するまでの間再任用を希望する職員については一律にフルタイム官職に再任用するという国家公務員法の改正が行われた。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
「官吏」とは、明治憲法下において、天皇の大権に基づき任官され国務に就いた、高等官と判任官のことです。高等官は更に、位が上から親任官、勅任官、奏任官に分類されます。私法上の契約に基づき国務に就いた非官吏とは区別されていました。「親任官、勅任官、奏任官などの非官吏」という記述は妥当ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
スポイルズ・システムとは、19 C 前半、米英で盛んだった「猟官制」のことです。試験や資格ではなく、選挙の結果を反映した公職任命システムのことです。政治的腐敗を招き、廃れていきました。この反省を活かし、資格や試験成績に基づく公職任命を行うのが「メリット・システム」です。日本では「高文試験」によって、明治時代から試験に基づいています。「昭和 22 年・・・初めて公開競争による採用試験制が導入」ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
いわゆる天下り規制に関する記述です。

選択肢 4 ですが
H 20 年に国家公務員制度改革基本法成立後、政権の交代が短期間に続いたことなどもあり、幹部職員人事を内閣が一元管理すること等を内容とする国家公務員法等の一部を改正する法律案は H 26 年に成立しました。「H 21 年提出、同年成立」ではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
再任用を希望する職員について、フルタイム「又は短時間」勤務で再任用するという改正が行われました。「一律フルタイム」というわけではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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