公務員試験 H26年 国家一般職(行政) No.5解説

 問 題     

各国の政権に関する ア~エ の記述のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア. フランスでは、1960 年代に大統領の直接公選制が導入され、これにより、大統領を擁立する存在としての政党の意義が高まり、政党組織の強化が進んだとされる。2000 年には大統領の任期が短縮されて下院議員の任期と同一となったが、これ以降も大統領と下院多数派の支持を基盤とする首相とが異なる党派の所属となるという一種のねじれ状態はF.オランド政権が成立するまで継続した。

イ. 英国では、第二次世界大戦後、下院において、二大政党が第1党、第2党を占めてきた。他方、いくつかの選挙区では、第3党以下の政党や地域政党が議席を獲得し、これらの政党も下院での議席を有してきた。2010 年の下院選挙の結果、、第1党が単独過半数に達しなかったため第1党、第2党とも第3党と連立協議を行い、合意に至った第1党と第3党との連立政権が成立した。

ウ. イタリアの政党制は、第二次世界大戦後から1990年代初頭までは、G.サルトーリのいう「分極的多党制」の状況にあった。1993 年に選挙制度が比例代表制から小選挙区と比例代表の混合制に改革されたことなどから従前の政党が分裂する一方、新しい政党が登場することとなり、これ以降、2013 年に実施された総選挙までは中道右派連合による政権が続いた。

エ. ドイツでは、1990 年のドイツ統一以降 2013 年の連邦議会選挙までの間、一貫して連立政権が構成された。連立政権は、キリスト教民主同盟/キリスト教社会同盟又は社会民主党のいずれかが第1党として自由民主党や同盟 90/緑の党と連立政権を構成した場合と、第1党と第2党の両党とで大連立政権を構成した場合とがあった。

1. アイ
2. アウ
3. イウ
4. イエ
5. ウエ

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

記述 ア ですが
前半部分は妥当です。 1960 年代に大統領の直接公選制が導入されました。そして、大統領の任期短縮により、下院議員の任期と同一になることにより、「コアビタシオン」と呼ばれるねじれが、シラク政権誕生と共に「解消」されました。オランド政権が成立するまでねじれ状態が継続していたわけではありません。記述 ア は誤りです。

記述 イ は妥当です。
ちなみに、第一党は保守党です。第二党は労働党です。第三党が自由民主党です。

記述 ウ ですが
イタリアでは比例代表制から、1993 年に 小選挙区比例代表並立制→2005 年 プレミアム制(選挙の結果第1党が過半数を獲得できなくても自動的に過半数勢力を与える制度)→ 2017 年 10 月、プレミアム制廃止 といった変遷を辿っています。2006 年の総選挙で中道左派が勝利し、政権交代が起こっています。「2013 年に実施された・・・まで・・・中道右派連合による政権が続いた」わけではありません。記述ウは誤りです。

記述 エ は妥当です。
ドイツの連立政権についての記述です。

以上より、正解は 4 です。

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