公務員試験 H26年 国家一般職(土木) No.33解説

 問 題     

図のように裏込め土に等分布の上載荷重が作用する場合の擁壁について、擁壁の滑動に対する安全率として1.5以上を確保するために、擁壁の底面の幅B〔m〕がとり得る最低の値として最も妥当なのはどれか。

ただし、裏込め土の表層面及び基礎地盤面は水平であり、擁壁と裏込め土との摩擦は考慮しないものとする。

また、擁壁の上面の幅は1.0m、擁壁の高さは5.0m、擁壁の単位体積重量γwは24kN/m3、裏込め土に作用する上載荷重は10kN/m2、裏込め土の内部摩擦角φは30°、裏込め土の粘着力cは0kN/m2、裏込め土の単位体積重量γtは18kN/m3、擁壁と基礎地盤との摩擦係数は0.50とする。

  1. 2.5m
  2. 2.8m
  3. 3.6m
  4. 6.8m
  5. 9.4m

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

「擁壁が滑動する」とは「土圧により壁がずるっと押されて動く」ということです。

土圧と、壁ー地盤間の摩擦力の釣合いの問題となります。

【擁壁ー地盤間の摩擦力について】

摩擦係数が 0.50 とあるので、F摩擦力 = 0.50 × N です。※ N は垂直抗力です。N を求めるために擁壁の重量を求めます。

擁壁部分(台形)の面積は

(B+1)×5 ÷ 2 ・・・(1)です。

単位体積重量 γw が24kN/m3 とあるので(1)に 24 をかければ

(B+1)×5 ÷ 2 × 24
=(B+1)×60 です。

これが 擁壁の重量であり、N は同じ大きさとなります。

よって、F摩擦力 は

0.50 × (B+1) × 60
= 30 × (B+1) です。

【土圧について】

擁壁が滑動する時の土圧なので「主動土圧」を考えます。

土圧は縦方向よりも横方向の方が小さく、そのために土圧係数を考えます。※水圧との大きな違い!

主動土圧について、土圧係数 KA = tan2(45°ーΦ/2) です。※これは知識。

Φ = 30°なので

KA = tan230°
= (√3/3)2
= 1/3 です。

つまり、上から 1 の力で抑えられたら横方向の土圧は 1/3 である、ということです。このため、上から 10 で押されたら横方向には 10/3 の力がかかります。

一番下の所では、上からの 10 の力に加えて土の単位体積重量γtは18kN/m3 とあるので、18 × 5 = 90 の力で上から押さえつけられます。

合わせて 10 + 90 = 100 です。すると横方向には、100/3 の力がかかります。

以上をまとめると、以下の図のようになります。

横方向の力の全圧は台形の面積を出せばよいので

(10/3 + 100/3) × 5 ÷ 1/2
= 275/3 です。

【安全率を考慮】

安全率が 1.5 なので275/3 × 1.5 まで摩擦で支えればよいといえます。

つまり、

F摩擦力
= 30 × (B+1) ≧ 275/3 × 1.5 です。
(右辺は ほぼ 90 × 1.5 ≒ 135 です。)

選択肢 を検討します。

選択肢 1,2 では左辺の方が小さくなってしまいます。

選択肢 3 の 3.6 の時、左辺が 30 × 4.6 = 144 となります。大体この辺と考えられます。

※次の選択肢 4 で数値がだいぶ大きくなっており、「B の取りうる最低の値」としては4,5 は共に不適切と判断できます。

以上より、正解は 3 です。

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