公務員試験 H25年 国家専門職(食品衛生監視員) No.4毒性学Ⅲ(1)(2)(3)解説

 問 題     

Ⅲ 有毒成分に関する次の文章を読み、以下の問いに答えよ。

「フグ毒の有毒成分として知られる成分Aは、細胞膜に存在する電位依存性の ㋐ に特異的に結合し、その開口を抑制することで ㋑ の細胞内への流入を阻害することにより、神経伝導を抑制し神経、骨格筋を麻痺させる。

一方、キンポウゲ科のトリカブト属の塊茎に含まれるアルカロイドである成分Bは、細胞膜に存在する電位依存性の㋒に作用し、㋓により㋔の透過性を増大させることで神経伝導を抑制し、神経、骨格筋を麻痺させる。

マウスにA及びBを同時投与したところ、B単独で投与した場合に比べて、死亡までの時間が延長することが観察された。」

⑴ 成分A及びBの名称をそれぞれ記せ。

⑵ ㋐〜㋔に当てはまる語句を語群から選び出しそれぞれの番号を記せ。なお同じ語句を複数回用いてもよい。

<語群>①クロライドチャネル、②カリウムチャネル、③ナトリウムチャネル、④グルタミン酸受容体、⑤GABA受容体、⑥過分極、⑦脱分極、⑧塩化物イオン、⑨カリウムイオン、⑩ナトリウムイオン

⑶ 下線部の理由について 5 行程度で説明せよ。

 

 

 

 

 

 解 説     

(1)
フグ毒の有効成分といえばテトロドトキシンです。また、トリカブト、塊茎に含まれるアルカロイドといえば、アコニチンです。
A:テトロドトキシン
B:アコニチン

(2)
テトロドトキシン、及びアコニチンは、共に Na チャネルが作用点です。テトロドトキシンは Na+ チャネル close 、アコニチンは Na+ チャネル open して脱分極です。

以上より
㋐ Na チャネル ③
㋑ ナトリウムイオン ⑩
㋒ Na チャネル ③
㋓ 脱分極 ⑦
㋔ ナトリウムイオン ⑩ です。

(3) 解答例)
テトロドトキシン 及び アコニチンは、作用機序が真逆なので両者が拮抗します。それぞれの物質の代謝に必要な時間が異なるため、ある程度時間が経過すると、テトロドトキシンの量が減少しアコニチンが効いてくる という経過を経ます。このためアコニチン単独投与に比べ死亡までの時間が延長します。

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