問 題
我が国の漁業や捕鯨を取り巻く近年の状況に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.マグロ類は、世界中で過剰な漁獲が行われたことによって個体数が減少しているため、絶滅の危険性が低いとする我が国の主張が認められた中西部太平洋以外では、ワシントン条約により漁獲及び国際的取引が禁止されている。
2.サンマは、我が国にとって身近な魚で、重要なタンパク源として利用されてきたが、漁獲量の制限が定められていないため、底引網漁による過剰な漁獲により資源量は減少の一途をたどっている。
3.ニホンウナギは、ウナギの産卵場所などの生態の解明や稚魚の養殖法の開発などが全く進んでいないため、稚魚の過剰な漁獲と生息環境の悪化により個体数が減少し、その傾向が絶滅の恐れがあるレベルに達していることから、2011年に絶滅危惧種に指定された。
4.シロナガスクジラなどの大型鯨類については商業捕鯨が禁止されているが、我が国は国際捕鯨委員会(IWC)の管理の下で鯨類資源の持続可能な利用を図るため、必要な科学的データを収集・提供することを目的として調査捕鯨を実施している。
5.エチゼンクラゲは、春先にオホーツク海で生まれ、親潮に乗って南下した後、日本海を回遊しつつ成長するが、ここ数年、大きく成長したものが大量に発生し、我が国近海で大きな漁業被害を引き起こしている。
解 説
選択肢 1 ですが、マグロ類については、まずそもそも日本が世界の漁獲量の大半を占めています。近年ベトナムなどのアジア勢が漁獲量を増やしていますが、「世界中で過剰な漁獲」という記述は明らかに誤りです。
選択肢 2 ですが、「底引き網」で穫れるのは、海底付近にいる魚や貝です。サンマの過剰な漁獲とはあまり関連のない記述です。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 はですが、ニホンウナギが 絶滅危惧種に指定されたのは 2014 年です。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は、正しい記述です。
選択肢 5 ですが、生まれるのが渤海などで、対馬海流に乗ります。「オホーツク海で生まれて太平洋側の親潮に乗って」ではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 4 です。
参考)水産白書 http://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/
概要だけでも目を通すと面白いと思われます。
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